笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

次に星を継ぐものは、もうない。

【ミネルヴァはもはや背景の空と見分けもつかない黒い煙の塊にすぎない。二つの赤点は繋がって、赤道を跨いで長く帯状に伸びている。何百マイルもの長さであろう。もう一つ別の赤い筋が北に向かってどんどん伸びている。ときおりその一部が煙の中で橙色に輝…

瀧山城跡

夏草や兵どもが夢の跡 「おくのほそ道(全)」 松尾芭蕉 角川ソフィア文庫 慢性疲労症候群の症状は、かなり軽くなってきた。無理さえしなければ、たとえ倦怠感を感じた日でも、日常生活に差し支えるほどの辛さはもうない。ただ、やはり疲れが溜まった時には…

ソール・ライター

Right now, somewhere, someone is taking a very fine photograph.”まさに今、どこかで誰かがとてもいい写真を撮っている。” 「永遠のソール・ライター」 小学館 ストリートフォト、というものが、ここ10年ほどの写真のトレンドなのだろうか。数年前、ヴィ…

明石漁港

・・・かたじけなき御座所なれば、ただ寄りゐ給へるに、故院ただおはしまししさまながら、立ち給ひて、「などかく怪しき所にはものするぞ」とて、御手を取りて引き立て給ふ。・・・ 「源氏物語」 紫式部 角川書店(編) 角川ソフィア文庫 特に用事はないのだけど、…

中原中也

野外は真ッ闇 闇の闇 夜は劫々と更けまする 落下傘奴のノスタルヂアとゆあーん ゆよーん ゆやゆよん 「中原中也詩集」 新潮文庫 Eテレの子ども向け番組で、中原中也の「サーカス」という詩を歌詞にした歌が流れていた。「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」とい…

ヴィヴィアン・マイヤー

・・・それで僕はそのへんのクレイジーな崖っぷちに立っているわけさ。で、僕がそこで何をするかっていうとさ、誰かその崖から落ちそうになる子どもがいると、かたっぱしからつかまえるんだよ。・・・ライ麦畑のキャッチャー、僕はただそういうものになりたいんだ…

神戸にも時々は雪が降る

まあ、おちる、おちる、おちる! ゆりかごにでものったように、やさしく風にゆられ、右へ左へ、ひらひらと羽のようにふきながされながら、雪のひとひらは、いつのまにか、いままでついぞ見も知らぬ世界にうかびでていました。 「雪のひとひら」 ポール・ギャ…

森山大道

写真をかじったことのある人なら、森山大道さんを知らぬ者はいないだろう。 かく言う僕も、多少写真をかじり、森山大道さんの作品に触れ、「これはマネできん」とため息をつく一人だ。 森山さんの写真、マネできそうで、マネできない。同じように撮ったつも…

パイロットのブラックインキ

濃厚なクリームの表面のように、しわ一つないつややかな紙上に、ぬらりと黒いシュプールが並びました。美しい、と私は思いました。 「カルメン・ブラック」 関もぐら PayPayと神戸市が提携して、販売・サービス業に対する20%還元を行っている。去年は確か、…

グリーン・マテ茶

こうして旅にでることに決まったのだが、この旅は常に「行き当たりばったり」という大まかな方針に従って続けられることになった。アルベルトの兄弟も集まって、マテ茶を一巡り飲むことで、自分の夢をかなえるまでは諦めないことを二人とも確かに約束したこ…

測量野帳

「イメージ、イメージ、一番大切なのは純粋なイメージ」 と、僕は言った。「イメージやっか、わかるやろ? よし、高原ね、それから、カメラがズーム・ダウンすると、フルートを持つ少年が」「マスガキのカメラ、ズームついとらんぞ」「アダマちょっと黙っと…

ウクライナ

第九条[戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認]①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 「世界憲法集」第二版 高…

フルートの音色について思うこと

ラジオをつけたら、モーツァルトのフルート協奏曲が流れていた。ニ長調の、オーボエ協奏曲と共通の方だ。ラジオをつけた時にはもう二楽章だった。そのフルートソロの音がとても力強い。その力強さが、なんというか、僕が今まで耳にしたことのないような強烈…

もう一度、おかえり、GRⅢ

・・・機材の準備といったって、僕の場合三五ミリのカメラ一台に二八ミリレンズをつけて別にマクロレンズを一本、あとはフィルムのみです。ストロボもこのごろ嫌いになってしまったので、よほどの理由がないかぎり持っていきません。・・・ 「遠野物語」 森山大道 …

車が脱輪して溝にハマって助けあい

駐車するために車を後退させていたら、脱輪してしまった。 時々おとずれる場所で、細い路地からバックして駐車スペースにいれるのだけど、その日はハンドルを切るタイミングがはやすぎたために、車の頭を反対側にふって後輪の位置を修正してから駐車しようと…

明石天文科学館

調べたいことがあって明石天文科学館に行くことにした。しかし、オミクロン株コロナの感染拡大は強烈な勢いで、週末にはマンボウが発令されるようだ。調べものだけなら別に急いでないので、事態が収束してから行こうかと思っていたのだけど、急遽訪問するこ…

屠蘇散

昨年末の話になる。僕は慢性疲労症候群のために、漢方医の先生にかかっているのだけど、年の瀬の診察の後、「はい、これどうぞ」と先生から手渡しで「年賀」と印刷された封筒を頂いた。それが何かも分からないで、「あ、ありがとうございます」と受け取って…