笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

蜂とか猪とか

「アナフィラキシ-、アナフィラキシー・・・・・・。ユダよ、怒りをしずめたまえ・・・・・・。アナフィラキシー、アナフィラキシー・・・・・・。ユダの魂よ、安らかに眠りたまえ・・・・・・」 「花とアリス殺人事件」 乙一/岩井俊二(原作) 小学館 夏になると、いつも子どもを…

不二家

「なあ緑子、あんた東京初めてちゃうの。なあ、どう、大阪とあんまり変わらんくない?」とわたしがささやかに話しかけても首を少し縦に動かすだけで、そのほかは一言も喋らず無表情。 「乳と卵」 川上未映子 文春文庫 予備校時代の友人と、島村楽器にベース…

島村楽器

おまえはそのままで正しいーー。いつものアブラクサスの啓示が聞こえた。サックスの音もドラムの音もはっきり別々に聞こえ、別々のままに融合していく。ぼくはこんな幸せがこれ以上続いたら自分がこわれてしまうような気がした。アブラクサスの世界はいつも…

グラブ

そしていま、彼はハイウェイを車で走っていて、夕暮れが迫りつつある。ニックは父親について考えるのを止めてしまった。ふだんから、一日の終りに父親を想うことはまずない。一日の終りはいつも自分だけのものであって、そうでないと落ち着かないのだ。 「父…

東急ハンズ

ユートピア島は島の中央部の一番幅の広い所で、その幅は二百マイルある。この幅は島の大部分を通じてそのままであるが、ただ、両端に近づくに従って次第に狭くなってゆく。 「ユートピア」 トマス・モア/平井正穂(訳) 岩波文庫 三宮の東急ハンズが閉店す…