笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

明石天文科学館

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 調べたいことがあって明石天文科学館に行くことにした。しかし、オミクロン株コロナの感染拡大は強烈な勢いで、週末にはマンボウが発令されるようだ。調べものだけなら別に急いでないので、事態が収束してから行こうかと思っていたのだけど、急遽訪問することにした。
 というのは、明石天文科学館では、小惑星イトカワから採取したサンプルを地球に届けた大気圏突入モジュールの展示をやっていて、それが訪問を決めた日で終了してしまうからだった。
 僕は別に天文ファンでも何でもないのだけれど、でも実際にサンプルを積んで地球に降りてきたモジュールの本物が見られると聞けば、見てみたくなるのが人情というもの。だって、本物だよ? 現物だよ? 見てみたいじゃない。

 明石天文科学館は、先月にやってきた人丸神社のすぐ近くにある。まさか、ひと月あけずに同じ場所に来ることになるとは思わなかった。
 三宮駅から明石駅に行くには、快速や新快速を利用できるのだけど、たいして急いでいないし、たいして遠くもないので、人混みを避ける意味もこめて普通電車を選ぶ。普通なら、片道30分ほどの乗車で、明石駅だ。駅では、信楽焼のたぬきが出迎えてくれる。「明石ポン太」という名前があるらしい。

 科学館の入り口に近づくと、玄関で職員が待ち構えている。なんか、ものものしい。呼び止められ、「はやぶさインストゥルメンタルモジュールをご覧になりますか?」と訊かれたのではいと応えると、予約の空きを調べてくれた。あ、予約が必要だったんですね、知りませんでした、すみません。幸い、予約の枠には余裕があったらしく、プラネタリウム終了後の見学枠をとってもらえた。

 プラネタリウムの開演まで少し時間があったので、その時間のうちに調べ物をし、それからプラネタリウムを観た。プラネタリウム、最後に観たのはいつだろう? 横浜にいたころに、一度観た記憶があるのだけど、なぜ観たのか全然覚えてない。天文科学館のプラネタリウムは30分程度のプログラム。この季節の明石の夜空と、はやぶさについてのトピックであった。申し訳ないが、途中で眠くなり、眠るつもりはなかったのに五分ほどうとうとしてしまった。プラネタリウムって、なんだか眠くなる。

 で、そのあとついに、インストゥルメンタルモジュールとご対面。モジュール本体と、その制御基盤、そして大気圏突入カプセルの前面と背面、そしてパラシュート。カプセルの全面だけはレプリカだけど、あとは全部本物なのだそうだ。制御基盤というのが新品のようにきれいで、まるでそれこそレプリカのよう。とても六年間も宇宙を旅した後だとは思えない。
 宇宙のことも小惑星のこともよく分からないがとにかく、このインストゥルメンタルモジュールの持ち帰った小惑星イトカワのサンプル分析によって、生命の誕生の神秘が解明されるかもしれないのだとか。なんだか話のスケールが遠すぎて、全然ピンとこないけど、とにかくすごいことで、それを成し遂げたはやぶさはきっと、すごいやつなんだ。そして僕はそのはやぶさの一部とご対面している。どういうわけか、なんまんだぶ、と心の中で呟いてしまった。ただの基盤と煤けた金属塊なんだけどな。変な感じ。

 さて、生命誕生の神秘が解き明かされると、世の中はどのように変わるのだろうか。苦しみのない幸せな社会の実現か、はたまた破滅の未来か。できれば僕や僕の子どもが幸せに生きられる未来をもたらすものであってほしいな。
 はやぶさインストゥルメンタルモジュール、幸せ運ぶ玉手箱であることを祈る。