笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

屠蘇散

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 昨年末の話になる。僕は慢性疲労症候群のために、漢方医の先生にかかっているのだけど、年の瀬の診察の後、「はい、これどうぞ」と先生から手渡しで「年賀」と印刷された封筒を頂いた。それが何かも分からないで、「あ、ありがとうございます」と受け取って帰ってきたのだけど、自宅でその封筒をよく観察したら、「屠蘇散(とそさん)」と書いてあった。
 屠蘇散って、何だ?

 散、とつくので、漢方薬かなあ。漢方医の先生だから、お年賀のかわりに漢方薬をくれたのだろうか。そんなことを考えながら封筒を眺め回したりググったりすると、やはりそれは、漢方の一種であることが分かった。
 屠蘇散、要するに、お酒に漬け込んでお屠蘇をつくるためのもののようだ。
 へーえ、お屠蘇って、こういうのを使ってつくるんだね。
 すぐに試してみたかったが、屠蘇散を漬けるための日本酒がその時はなくて、引き出しにしまい込んだ。で、しまい込んだことを忘れてしまい、そのまま年を越して、ある時たまたま引き出しをあけたら屠蘇散の封筒が出てきて、「ああそういやこんなものを先生に頂いたなあ」とやっと思い出して日本酒を用意した。

 お屠蘇・・・ずーっと前に、親戚の結婚式で頂いたのは何となく記憶にあるが、どんなものだったかはっきり記憶はない。そもそも、結婚式で「これがお屠蘇か」などとゆっくり味わう余裕もなかったし。
 封筒を開けてみると、ティーバックに入った生薬が出てきた。ものすごいシナモンの匂い。なかなか強烈な香りだ。封筒には、180ml程度の日本酒かみりんに1パックを一晩漬けてください、と書いてある。そこで、普段はコーヒーを入れて持ち運んでいるサーモスに日本酒を注いでパックを沈め、一日放置した。

 さて、サーモスのキャップをひねるなり、嗅いだことのある匂いがした。おおっ、これこれ、まさにお屠蘇。結婚式で回し飲みする、アレだ。
 結婚式ではほんの一口すするだけのお屠蘇だけど、一合作ったので、晩酌に一合全部飲んだ。クセは強いが、結構おいしい。老酒みたいな色をしているのも面白い。いいじゃん。これ、正月とか結婚式だけじゃなくて、普段飲みでも頂きたい。どうやったら手に入るのかと思って調べたら、普通にAmazonで売っていて驚いた。案外、気軽なものなんだね。知らなかった。屠蘇散の主な材料は、ミカンの皮を乾かしたものとか、肉桂とかなので、自分でも作れるかもしれない。
 お屠蘇、いいね。また飲もう。