笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

すふれにゃーん。

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 11月中頃、唐突に真冬のような天気になった。今年の気候はとにかく、極端だ。寒さはいったんゆるんだけど、月末にはまた、ひどく寒くなるらしい。
 そういう気候なので、何に悩むって、服装だ。ひどく冷える日には、真冬仕様の格好でなければ耐えられないし、その服装で季節相応の日を過ごそうとすると、暑い。そういう訳で毎日、天気予報とにらめっこしながら、何をタンスから出そうかと頭をひねっている。
 しばらく前から、中学校に吹奏楽部を教えに行っている。中学生はこの気温の変化に応じて、シャツの上、あるいは上着の下に、カーディガンなんかを着て調節しているようだ。そういや僕も、高校生の時はカーディガン着てたなあ。僕の学校、僕の時代には、校則上は学校指定以外の防寒着を着るのはNGだったのだけど、学ランを脱がなければバレないので、冬の間はずっと着ていた。
 確か、混紡の黒いニットのカーディガンだったような気がする。チクチクする毛糸は基本、僕はダメなのだが、そのカーディガンだけはなぜか大丈夫だった。なぜ大丈夫だったのかは分からない。どうしてあの生地だけオッケーだったんだろう? 裏地が入ってたからなかな? そうだとしても、表地のチクチクは防げないよね。うーん、分からない。
 まあいいや。で、それがもう30年も前の話になるわけだが、四半世紀を越える月日の間に繊維も進化したらしく、近頃はニット類を着ても、あまりチクチクを感じなくなった。僕が慣れただけなのか? うーん、わからんけど、とにかく今は、ニット類も問題なく着られる。ただし、もともと苦手意識があったせいで、積極的に選ぶことはしてこなかった。
 見た目もあまり好きではない、というのもある。ふわったした感じの服は、自分には似合わないという感覚があるのだ。でも、僕ももうエエ歳やし、やわらかーい感じのニットなんか着てた方が、何となくいいような気がして、実はここのところずっと、気になっている。
 そういう時に頼りになるのは、ユニクロだ。ちょっと冒険してみる気になって、試しに買ってみて、もし失敗してもあまり痛手を被らず、気に入ったらそのまま長く愛用できる。今年のユニクロには、「スフレヤーン」という素材のニットウェアがあるようだ。テレビCMでは、「すふれにゃーん」などと言っている。意味はよく分からないけど、すふれにゃーんって要するにニットだろ? 
 お店に足を運び、ハーフジップのセーターを試着してみた。おお、いいじゃん。暖かいし、全然チクチクしない。ほどほどに通気性もありそう。楽器を吹くと僕は汗をかくので、通気性は大事。デザインもいいんじゃないかな。似合わないのは、僕の方の問題。そうそう、こういうのが欲しかったんだよ。お値段も、お求めやすい設定。試着室からすぐレジに運びました。
 そのスフレヤーン、冷え込んだ日に着て一日過ごしてみたけれど、とても心地いい。ユニクロさん、これはいいよ。すごいもの作ったね。こんなお値段でホンマによろしいの? びっくりするわー。洗濯も、丁寧にやれば自宅で可能なようだ。僕はまだ洗濯はしていないので、縮みや風合いの劣化については分からないけど、洗剤も進化してるし、大丈夫なんじゃない? 知らんけど。でも、いいね。

 歳がいって、自分の好みが変わった、というようには感じない。しかし、若者向けの洋服がそのまま似合う歳ではなくなった、ということは自覚しておく必要があると思う。そして、服装って人に見せるためのものでもあるのだから、相手をびっくりさせないためには、自分の好みとは別にそのための配慮が必要だ。なので、今までやわらかい印象の服はあまり選んでこなかったけど、年齢相応のソフト感は出していきたいと考えている。
 しかし、ニット似合わないなあ、僕。服って、「着慣れれば、どんな服も似合うようになる」というけれど、ニットも着ているうちに似合うようになるのだろうか。まあ、せっかく買ったし、この冬はニットを着倒してみよう。春には板についているかもしれないしね。


 余談。
 後で気づいたのだけど、半年ごとにユニクロが製作している「LifeWere magazine」に僕が買ったのと同じハーフジップをバイオリン奏者が着ている写真が載っていた。僕はバイオリン奏者ではないけど、なるほど、これを着て楽器を持つと、こういう風に見えるわけか。この人、ニット似合うなあ。うらやましい。男性のヴィオラ奏者は、タートルネックのニットをお召しになっている。タートルネックもいいじゃん。昔は好きじゃなかったけど、また試しに買ってみてもいいかもしれない。
 それにしても、弦楽器はカッコいい。シックだ。僕は指の腹が痩せているので絶対に弾けないけど、もしそうでなければヴィオラを弾いてみたかったと思う。