笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

ブーツのフック交換。

f:id:sekimogura:20240426185235j:image

 

 以前、バイクに乗っていた名残で、今でも時々、ブーツを履く。
 中学校に行くと、どうしても靴の脱ぎ履きがあるために、ここ何年か足を入れる機会は少なくなっているが、用事のない日や荒天の時には、ブーツを選ぶ。ブーツは好きだ。足ががっちり守られている感じがして、安心感がある。いい。

 ブーツはいくつか持っていて、すべてショート丈のレースアップだ。なぜなら、ロング丈にするとさすがに脱ぎ履きが面倒くさいのと、レースアップはサイドゴアやジップに比べてかっちり締め上げやすいから。
 バイクを降りてから一番出番が多いのは、ソログッドのブーツだろうか。つま先に少し余裕があるのと、履き口がフック仕様になっていて締め上げやすいのが理由。元々は純正のゲルの中敷きが入っていたが、へたって穴が開いたので今は、引き出物でもらったビルケンシュトックの小さめの中敷きを入れている。中敷きはなくたって別にいいのだけど、あった方が歩きやすい。ソールはビブラムのミニラグに張り替えてある。ゴツすぎないのにグリップ力があるのがいい。特に、不整地を歩く時に安心感がある。クレープソールも悪くないが、あれは街歩き用だな。クッション性が高い代わりに、削れやすく、不整地では滑りやすい。砂地でのグリップ不足が顕著だと思う。今はもうあまり関係ないけれど、バイクの乗り降りをするときに足が滑ると危険だ。

 春になって吹奏楽部のお手伝いが小休止となり、少し時間ができたので、体調がよほど悪くない限りは、体力維持のために出歩くようにしている。その時に、散歩では出かけている間に脱ぎ履きがないので、ブーツを久しぶりに履くことにした。
 で、ソログッドの埃を払って足を入れ、ヒモを結ぼうとしたら・・・あれ、フックにヒモがひっかからない。20年近く履いているブーツなので、フックの位置は手が覚えている。その、フックがあるはずの場所へヒモをもっていくのだが・・・あれれ、やっぱりひっかからない。フックがある手応えはあるのだけど、すっぽ抜けてしまう。 なんでだ?
 ジーンズの裾をめくって、問題のところをじっくり見てみる。すると、なんとフックが壊れているではないか。ヒモをひっかけるところが、起き上がってしまっている。おおお・・・こりゃあ、ひっかからなくて当然だ。
 それでも、角度をたしかめながらしっかりヒモにテンションをかけると、何とか結べた。試しに数歩歩いてみて、問題ないことを確かめる。ま、何とかなるな。そう判断したので、そのまま出かけた。

 天気のいい日だったので、東遊園地まで気分良く歩いた。心配だったヒモの具合も問題はない。ただ、めくれあがった金具が時々ジーンズの裾にひっかかるのがうっとうしい。やっぱりこれは、なんとかしないといけないね。
 公園で休憩しながら、修理を頼めそうなお店をグーグル先生に尋ねてみると、東遊園地の近くでは、三宮の高架下にある「ベックマン」というお店がひっかかった。
 ベックマンか、レッドウイングの名作ブーツだね。レッドウイングの専門店というわけではなさそうだけど、ソログッドを持ち込んでも大丈夫だろうか。まあいいや、どうせ帰り道だから、ちょっと寄って相談してみよう。

 場所は、高架下の真ん中より少し西よりの辺り。阪急三宮の西改札のところから高架下に入って、ずんずん進んでいく。高架下も、ずいぶん店の顔ぶれが変わったなあ。昔からあるお店も頑張っているけど、馴染みのない店が増えた。年寄りとしては少し寂しい気もするが、商店街もアップデートしていかないと廃れちゃうもんね。だから、いいことなんじゃない? 

 トアロード手前の、ちょっとモトコー感高めのエリアに入ったあたりに、その「ベックマン」というお店はあった。いいねいいね、まさにシューリペアのお店って感じ。そうそう、これを求めていた。
 意外とお若い、シュッとした好青年な感じの店員さんに、曲がったフックを見せて「これって直せますか」と尋ねると、すぐに出来ると応えてくれた。料金はワンコイン、時間は10分程度だという。ええっ、そんなもんで直るんですか。じゃあすぐやってください。というわけで、フックが曲がっている方のソログッドを預けて、店内で待たせてもらうことにした。
 店の様子を眺めていると、単にリペアをするだけでなく、カスタマイズも受け付けているようだ。オリジナルとは違うソールに張り替えたり、ハトメの色を換えたりできるっぽい。ハトメをフックに換えることもできるようだ。それ、いいね。今度、僕のレッドウィングのハトメをフックに換えてもらおうかなあ。脱ぎ履きの時にヒモを緩めるの、結構めんどくさいんだよね。フックならラクチンだ。
 ソールの張り替えは、ビブラム系だけではなく、クラークスのクレープソールもやってくれるらしい。僕は以前、クラークスのデザートトレックのソール張り替えの相談をしに御影のお店まで行ったことがあるのだけど、ここでやってもらえるのなら近くて有り難い。御影のお店も丁寧でよかったが、次に修理する時はこちらで頼んでもいいかもしれない。

 で、10分もたたないうちにお声がかかって、僕のソログッドの修理は終わった。金具の色目を既存のものにあわせて選んでくれて、全然違和感ない雰囲気に仕上がっている。ブラボーだ、素晴らしい。ありがとう。
 ブーツの修理って、クイックリペア系の修理屋さんでは受け付けてくれないことが多いので、こういうお店が近所にあるのは有り難い。初めてお願いしたけど、仕事も信用できる。また機会があったらお願いすることにしようっと。

 ところで、まったくどうでもいい話なのだが、ベックマンの店員さん、とても雰囲気があってカッコいい。エプロンがよく似合っていて、まさに職人って感じ。ノーマン・ロックウェルの絵みたいだと思った。素敵です。