笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

タイヤがパンクしました。

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 7年前に買った車のオドメータが、まもなく3万キロになろうとしている。
 距離的にはまだそんなに走っていないけど、買ってから結構経つので、タイヤの劣化が始まっている。溝はまだ少し残っていて、余裕がある。しかし、表面には少しずつ亀裂が目立ち始めていて、替え時が来たなあ、という感じだ。

 当たり前だが、車のタイヤは4つある。で、タイヤを劣化で交換するということは、4本を一度に新調することになるわけだ。すると、結構な金額になる。以前、バイクに乗っていた僕は、バイクのタイヤ交換は何度もしたけど、バイクのタイヤは2本。当然、倍くらいの出費が予想されるわけだ。僕も裕福ではないので、かなり我慢して使っていたのだけど、さすがに交換する決意をした。
 さて、何に替えようかな。
 僕の車に、新車出荷時に装備されているタイヤは、OEM専用の流通ルートでしか扱っていない特殊なものらしく、同じものは市販されていないんだって。へーえ、何のメリットがあるんだろ? 別に同じものでいいと思っていたのだけど、それは手に入らないらしいので、別のものをさがす。
 車の販売店では、ミニバン用のダンロップを勧められた。同じ規格のタイヤに、ミニバン用と乗用車用があって、僕の車はミニバンだから、ミニバン用がいいんだって。何が違うの? って聴いたら、ウォールに補強材がはいっていて、ふらつきにくいらしい。なるほど、それはいいね。僕の車、確かにコーナリングに弱い。スピード高めで曲がろうとすると、大きく姿勢が崩れる。
 じゃあそれで、と見積もってもらって、びっくり、高い。めっちゃ高いやん! 工賃込みで七万円やと! びっくりしたわ。 じゃあ、乗用車用って、なんぼなん? ってきいたら、五万円台中盤。全然ちゃうやん、かなりお手頃やん。
 タイヤって・・・色々あんのね。
 そこで、タイヤの種類と値段に興味をもった。車の販売店にはなんとなく割高そうなイメージを抱いたので、あちこちのタイヤ量販店で値段を聞いてみると、同じダンロップのミニバン用でも、多少価格に幅がある。店員さんと話ができた時は、違うタイヤがないかも尋ねてみた。聞いたことのないブランドの乗用車用のタイヤだと、タイヤだけで3万円を切って、工賃込みで4万弱。へーえ。
 でもな、命を預けるタイヤだもんな。僕のだけじゃなくて、家族のも。だから、聞いたこともないようなブランドのタイヤに命を預ける気にはなれないな。
 そういう訳で、オドメータが3万キロを越えたら、ダンロップのタイヤを量販店で替えてもらうことに決めた。

 そう決めた時点で、車の走行距離は2万9千キロ。2回ほど給油すれば、3万キロを越えるだろう。給油は、三週間に一度くらいのペースだ。だから、二ヶ月弱で3万キロだよね。じゃあその時までにお金を用意しておこう。そんな風に計画をたてて、タイヤ貯金を僕は始めた。

 ところが。
 用事のない日の朝、ちょっとでかけようと思って駐車場から車を出したら、なんだか車の姿勢が傾いているし、タイヤから異音がする。なんだろうと思って飛び出したら、わわ、右前のタイヤがパンクしている。しかも、ベッコリと。
 うーわ、丸くないタイヤ、嫌やわ・・・。
 なんかね、前の日の夕方に駐車するとき、その右前のタイヤがちょっと潰れているような気はしたんだよね。でも、そんなもんだと言えばそんなもん・・・という程度の潰れ方だったから、そのままほっといたんだ。いやーマズったな。昨日、空気入れとけばよかった。そしたら、少なくともパンクしていることには気づいただろうに。ちっくしょう。
 車は、完全に自走不可能ではないが、クリープ現象で徐行するのがやっとの状態。仕方がないので一旦、車を駐車場に戻した。
 さて、どうしよう。
 車の販売店は、そう遠くないが、幹線道路を通るのが、ちょっと嫌。タイヤの在庫があるのは分かってるから、どうしようもなくなったら、そこまで自走しよう。まず、そう決めた。そして、もうちょっと容易な解決方法はないかをさぐった。グーグル先生に、「タイヤ交換」などのキーワードで質問をなげかけると、近所にいくつか、タイヤの販売・交換をしてくれる工場があるのが分かった。そして、いくつかの候補の中から、なるべく近くて、幹線道路を通らずにすむ工場を選んで、まずは徒歩で行ってみた。

 一番近くの工場まで、徒歩で10分。自走で車を運ぶことを前提に、一方通行などを確認しながら歩いた。結構あるぞ、一方通行。そうなんだよなあ、僕の自宅は住宅街にあるので、一方通行地獄なのだ。かなりめんどくさそうだな。でも仕方がない。
 朝一番に「タイヤください」と駆け込んできたイチゲンの僕をどう思ったのか知らないが、工場の人に「変な奴がきたぞ」っていう目で見られた。けど、事情を詳しく説明すると、工場の事務室に通してくれた。とりあえず、タイヤを売ってくれそうだということは分かってほっとする。
 事務所で、車種とタイヤサイズを伝え、納期と値段を調べてもらう。最初は、例のミニバン用のダンロップを調べてもらった。店に在庫はないが、午後には配送してもらえて、価格は車の販売店とタイヤ量販店の間くらい。実はこの時点では、まだタイヤ貯金が満期になっていなくて、予算から足が出る状況だった。まあ、買って買えないことはないのだけど・・・という感じだったので、別の候補はないか尋ねてみた。すると、「ミニバン用じゃないけど、ピレリならすぐ入るよ」という回答。値段は工賃込みで、4万円ちょい。

 ピレリか。
 バイクに乗っていた頃、ピレリのタイヤを履かせていたことがある。いいタイヤだった。グリップもいいし、耐久性も高かった。車だと、外車が販売時に履いているイメージがある。僕がそんなことを考えていると、工場の人もそんなことを言った。
 よし、ピレリにしよう。
 そう決めて、注文をいれてもらった。これも、午後には入荷できるという。なので、一度帰宅し、工場からの連絡を待った。午後の3時前に工場から電話がはいり、タイヤがきたというので、僕は深呼吸をひとつし、パンクした車に乗り込んだ。

 徒歩で10分の道のりを、車で30分かけて移動しました。
 無事移動できたけど、やっぱりタイヤは丸くないとダメだね。「ミシミシミシミシ・・・」って、すっげえ音するし、スピード出せないし、通行人とすれ違うたびに「あ、パンクしてる」って呟かれるし。走行中に後ろから車が来たので道をゆずったら、そのドライバーにも「パンクしてますよ」って言われた。知っとるわ! と憤ったけど、多分、親切で言ってくれたんだよね。ごめん。気持ちに余裕がなかったのよ。
 工場についたら、すぐに作業してくれた。そして、10分くらいで新品のタイヤが装着された。苦労してたどり着いた割に、作業があっけなくて拍子抜けしたけど、ほっとしました。新しいタイヤは丸い。いいね、丸いタイヤ。最高。

 予定とは違うタイヤを予期せず履くことになったマイカーだが、工場からは機嫌良く滑り出して、いい感じ。やっぱり、タイヤは丸くないとダメだ。いやホント。当たり前のことが当たり前なのって、本当に有り難い。
 ピレリの乗り心地、ミニバン用ではないということでちょっと心配だったけど、全然問題ない。むしろ快適になったんじゃないかと思うくらいだ。色のせいか、前のタイヤより少し直径が大きく感じる。なんだか、ラリー車みたい。
 お願いだから、パンクしないでね。