笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

慢性疲労症候群の、オケ活動

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 慢性疲労症候群を患い、まだその症名を頂いていなかった頃、その時すでに乗ることを約束していたオーケストラの本番は何とかこなした。しかし、演奏は心身共に辛く、次の演奏会はお休みさせてもらった。
 症状が一番重かった頃、「こりゃもう演奏は無理だ」と自分では思っていた。多分、周囲にも不安を与えただろうし、迷惑もたくさんかけた。だから、オケはもう辞めようかと真剣になやんだし、古い友だちにはそのことを相談したりもした。しかし、仲間が「治しながら一緒に演奏しようよ」と誘ってくれたので、その好意に甘えて復帰することにした。いい仲間に恵まれたと思う。とても感謝している。
 今でも、仲間にはかなり負担や迷惑をかけながら演奏を続けている。その場その場で、自分なりのベストを尽くしているつもりだが、やはり疲労すると集中力が落ち、ブレインフォグの症状も出るので、うまくできないことの方が多い。この、ブレインフォグというやつ・・・ホンマ何とかならんかな! 以前では考えられなかったようなミスをたくさん誘発する。セカンドの譜面を目の前に置いて読みながら演奏しているのになぜかファーストの音を吹いていたりするし、臨時記号は落とすし、調号がフッと脳みそから抜けるし・・・。自分でも、訳が分からん。
 お休みを頂いた回の、次の演奏会から復帰し、先だって、二度目の演奏会に参加した。
 調子は、少しずつではあるが、戻ってきている。タチェットなしの全乗りで、バテて吹けなくなるということはなかった。ただ、ミスは多かった。それが、今後の演奏上の課題であり、治療上でのターゲットでもあるかな。

 今回の演奏会はヘインズで吹いた。70歳オーバーのオールドヘインズだ。オケで使うには神経質すぎて、ここのところ使っていなかったのだけど、久しぶりに使ってみた。しかも、オリジナルの頭部管で。やはり、ゴウよりは格段に、楽器の操作に気を遣う。それでもヘインズを使いたかったのは、ヘインズの方が鳴るし、音色も好きだから。ポイントさえ外さなければ、ヘインズは本当によく鳴る。そのポイントは、針の先で突いたように小さいんだけどね。
 ここのところ、あれが欲しいこれが欲しいとばかり言っているような気がするけれど、オケで気楽に使えるフルートも欲しいなあ。ある程度雑に吹いてもちゃんとホールで鳴ってくれて、コントロールも神経質でないフルート。前にもどこかで書いたような気がするけれど、ヤマハイデアルが欲しい。本気で欲しい。ライザーはゴールド、C#トリルキィつき、ヘビー管、EメカありでH-footの、オケ仕様イデアル
 まあ、ないもののことを言っても仕方がない。とりあえず次の演奏会はゴウに戻そうと思う。ゴウも十分に使える楽器だ。ゴウに使っているアキヤマの頭部管もポイントの狭い楽器と言われているけど、さすがにもうちょっと広い。ヘインズのポイントが針の先なら、アキヤマは猫のおでこぐらいかな。太平洋のようなポイントをもつイデアルに比べれば神経質だが、それくらい融通がきけば、オケでも問題なく使える。

 こうやって演奏活動を続けられるのは、本当に有り難い。演奏できること自体が嬉しいし、コンディションの指標にもなる。次の演奏会では、今よりも体調を改善して、もうちょっといい演奏ができるといいな。そういう風に目標がもてるのも、音楽のおかげ。
 人生に「もし」はない。でも、もし僕が音楽のない人生を歩んでいたら、一体どうだっただろう、なんて近頃は考える。ちょっと想像がつかない。ただ、今よりは少し、暗い人生だったんじゃないかな。そんな気がする。