笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

デニムジャケット

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 若い頃・・・二十歳前後の、本当にまだ若造だった頃、デニムジャケットが好きだった。何着か持っていて、学生の頃にはよく着たのだけど、就職してから着る機会がなくなって、ずっとタンスの肥やしになっていたが、先だって、春物を出そうとタンスを開けたら、畳まれて眠っているデニムジャケットが目に入り、久しぶりに着てみる気になった。

 タンスから出てきたデニムジャケットは3着。ひとつはオーソドックスなもの、もうひとつはビンテージ風に加工が施されたもの、そして生成りのホワイトデニムのもの。どれもリーバイスだ。最後に袖に腕を通したのはいつだろう。もう覚えていない。学生の頃に着たっきりなら、20年くらい着てないかもしれないなあ。
 試しに羽織ってみる。ビンテージ風のジャケットは、さすがに若すぎて、40台半ばのおっさんが着るにはちょっと厳しい。すこしゆったりしているので、もしまたバイクに乗るのなら、その時に着るのにはいいかもしれない。
 タイプ3と思われるオーソドックスなものは、まあ着てもいいかな。形も色もきれいなので、清潔感がある。ここ何年か、女性がこの手のデニムジャケットを着ているのをよくみかけるが、これは僕が着てもおかしくなさそうだ。
 そして、生成りのジャケット。これ、よく着たなあ。学生時代に一番ヘビロテだったように覚えている。藍染めのジャケットだと、ジーンズを履いたときに上下でデニムかぶりするのが嫌だったので、生成りのジャケットは重宝していた。懐かしい。生地がほどよく柔らかいことや、やや小さめのサイズ感でスッキリ着られるところも気に入っていた。ややアイボリーがかった色も、過度に明るくなりすぎないのがいい。

 普通の藍染めのものと、生成りのものをそのままハンガーにかけて、この春には何度か着た。今年の春は、例年に比べて少し寒かったように思う。こういう気候だと、昼間は十分暖かくても、日没近くになると冷えるわけだが、デニムジャケットだと、昼間は袖をまくって暑気を逃がし、夜には襟をたてて首回りに風があたるのを防ぐことができていい。気温にあわせて調節がきく衣類は、間物の服装として最適だ。いいじゃん、デニムジャケット。
 ただなあ、四十代半ばのおっさんが着るにはやっぱり、ちょっと若すぎるよなあ。服装にも年相応っていうものがあって、僕ぐらいの歳だと、もうちょっとすっきりした服の方が本当はいいのだろう。
 でも捨てるにはもったいない。まだまだ十分着られる服だ。まだ十年以上先の話にはなるけど、子どもが大きくなったら、このジャケット着てくれるだろうか。着てくれるなら、とっておきたい。そして、このジャケットを着てもらえるような親でありたい。
 せっかくタンスから出したし、五月に入ったのに何だかまだ肌寒い時もあるので、今年はもう少し、このデニムジャケットを着るつもり。でも、暑くなったらきちんと手入れして、またタンスにしまっておこう。いつでも、誰でも着られるようにね。