笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

日本には転勤族という種族がいる

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 幼稚園に通っている末っ子のクラスに、転入生がやってきた。
 年度途中から転入なんて珍しいな、なんて思っていたら、近所の公園でその子と両親にばったり出会い、子どもが一緒に遊び始めたので、親同士も雑談をした。すると、そちらのお父様はお仕事柄転勤が多くて、今回はたまたま神戸が勤務地になって引っ越してきたのだと知った。

 ああ、いわゆる「転勤族」という人たちなんだね。
 仕事の都合で数年ごとに引越をしなければならない種族の人々が世間にはいる。彼らは転勤族と呼ばれている。会社から辞令が出る度に、縁もゆかりもない土地に突然移り住むことを強要される転勤族。そして引越の度に、新しい土地、新しい人間関係を築きなおすことを迫られる転勤族。そして、その土地にやっと馴染んだ頃に、また次のフロンティアへの旅立ちを命じられる転勤族。
 その半ノマド的な生活スタイルを選んだのは彼ら自身なのだから、別に彼らのことを憐れむつもりはない。だけど、大変だろうなあとは思う。

 僕も、引越の回数は少なくない方だと思う。平均的な日本人が生涯に何度引越を経験するのかなんて知らないけど、僕の親類の中では、僕はダントツに引越の回数が多い。だから、引越の面倒も、引っ越した先での苦労もよく知っているつもりだ。同じ日本の中で移動しているはずなのに、手続きは面倒だし、土地ごとの習慣はあれこれ違うし・・・それを数年サイクルで繰り返すのは正直、僕としてはちょっとご勘弁である。
 でも反対に、羨ましいなあと思うこともある。それはまさに、数年おきに引越をして、新しい土地、新しい人間関係に触れられることだ。旅・・・という感覚とはちょっと違うのかもしれないけど、似たところもあるに違いない。

 転勤族、彼らは転勤を続ける理由であるその会社を辞めた時、どこに定住するのだろう? 旅の最終地点であった土地だろうか、それともそれまで訪れた中で「ここがいい」と感じた土地を選び取るのだろうか、あるいは自分の誕生の地に帰るのだろうか。