笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

かつ丼吉兵衛

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 オーケストラの練習のために、元町にきた。そして昼になった。昼食に何を食べようか。元気の出るものが欲しいな、と思った。オケの練習は、前回の演奏会を体調不良のために降りていたので、久しぶりである。練習の途中でぶっ倒れるようなことがあってはこまるので、ここは目一杯、パワーチャージだ。
 元気が欲しい時の昼飯は、カツ丼に限る。僕は吉兵衛元町店の暖簾をくぐった。

 かつ丼吉兵衛、僕が最初に食べたのは、予備校生の頃だったろうか。もう20年以上も前の話だ。その時は多分、まだ三宮市場の東端のお店しかなかったように思う。あの、ひげのおやっさんが、研ぎすぎて短くなった包丁で、コンコンコンコンとまな板を叩きながら揚げたてのカツを切っていた。近頃、あのお店の前を通ってもお姿を見なくなった。お元気だろうか。
 その頃から僕は吉兵衛のかつ丼が大好きで、その後横浜の大学に進学した後も、帰省した折には吉兵衛に立ち寄ってアツアツのかつ丼を頬張り、上顎をベロベロにヤケドするのが習慣だった。当時はまだ、かつ丼の他には赤だしぐらいしかメニューになかったんじゃないかな。まあ別に、かつ丼を食べに来ているわけだから、かつ丼さえメニューにあればいいわけで、問題はなかったわけだけど。
 今は、吉兵衛のメニューも増えた。かつ丼のカツも二種類から選べる。メインとなる丼も、通常のかつ丼の他にソースかつ丼ができた。今日は、うーん、どっちにしようかな。どっちも美味いけど、でも、よし今日は、ソースかつ丼にするか。

 このソースかつ丼、うまい。ソースの辛さとキャベツの甘さがいい塩梅。温泉たまごも最高。いつからメニューにあったのか、正確なところはちょっと思い出せないけど、十年前に僕が横浜から神戸に引っ越した時にはまだなかったような気がする。でも、食べてすぐに好きになった。通常のかつ丼ソースかつ丼か、吉兵衛に入った僕が選ぶ割合は、50/50である。
 吉兵衛の新しいメニューで面白いのは、もうひとつ、とくれんのゼリーである。このオレンジ味のゼリーは、僕たち世代が小学生だった頃に給食で出されていたデザートで、シャリシャリの食感がたまらない。これをメニューにするっていうのを、よく思いついたよなあ。ていうか、まだあったんだ。今でも給食に出るのだろうか。娘に訊いてみても反応が薄いので、もう給食では出ないのかもしれないな。もったいない。

 さて、お腹は満タン、元気いっぱい。

 先だっての診察で新しく処方された薬を服用するようになって、慢性疲労症候群の症状はかなり落ち着いているように感じられる。時々、肋骨の下辺りに重苦しい緊張感を感じたり、発作的に強い倦怠感を感じることはあるけれど、その程度は漸減している。身体症状の改善に従って、読書や作文の集中力も上がってきた。よし、もう一息。