笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

熱が出たらPOCARISWEAT


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 長引く咳を放っておいたら、ついに熱が出た。ある夜、寝る前に寒気を感じて、「ああこれは、熱が出るな」と思ったら、案の定、翌朝に発熱していた。
 風邪をひいていた自覚はあったし、例の倦怠感もまだ感じていたので、とにかく外出は控えていた。家族以外にはほとんど誰にも会っていない。コロナではない自信があった。熱も、出るには出たが、高熱というほどでもない。しかし頭痛がひどく、全く食欲がない。その日の昼と夜はろくに食べられなかった。

 こういう時に頼りになるのは、ポカリスエットだ。
 グレープフルーツ風味の味付けはさっぱりとして飲みやすい。ぬいた食事を補うほどではないにしても、多少の糖質と食塩を含んでいる。我が家では、熱が出たらポカリスエットと、なんとなく決まっていて、誰かが熱を出すと、誰かが近所のコンビニにポカリスエットを買いに走るのが習慣だ。
 僕が熱を出した日には、子どもがお使いに走ってポカリスエットを買ってきてくれた。あーうまい。火照った体にしみわたる。熱の時は、ポカリスエットに限る。
 僕だけじゃなくて、僕の家族はみんなポカリスエットを愛飲している。幼稚園児の息子など、ポカリスエットはファンタやコーラの同類でジュースの範疇だと信じており、平素からおやつのおともにポカリスエットをリクエストしてくるほどだ。大好きらしい。

 しかし、僕が子どもの頃に初めてポカリスエットを飲んだときには、衝撃をうけたものだ。もちろん、好意的な意味ではない。
 調べてみると、ポカリスエットの発売は1980年。その年の僕はまだ喃語しか話せないような幼児だから、僕が初めてポカリスエットを口にしたのはもうちょっと後のことだと思うが、第一印象は「こんなマズいもん飲めるか!」だった。おそらく、基本的な味付けは今も昔も変わらないはずだけど、当時ポカリスエットの味は、到底受け入れられるものではなかった。まず、酸っぱい。なんでこんなに酸っぱい? 罰ゲーム? そんな風に感じたのを覚えている。
 ポカリスエットを普通に飲み物として受け入れられるようになったのはいつ頃だろう。多分、チェリオライフガードを飲むようになってからじゃないだろうか。あの迷彩のデザインが気になって飲み、やっぱりあまりおいしいとは思わなかったが安かったので、「まあ安いからいいか」と飲み続けているうちにスポーツドリンクというものの味に慣れた。
 ライフガードからまず飲み始めて、次に僕はアクエリアスを飲むようになった。アクエリアスポカリスエットより若干、酸味が弱くて飲みやすい。そして、どのタイミングでどうシフトしていったのかはもう覚えていないが、大学生の頃にはもう、ポカリスエットを常飲していたような気がする。

 振り返って思うのは、80年代の大塚製薬は中々、チャレンジ精神あふれる製品を作っていたなあ、ということ。あの頃に発売された大塚製薬の製品でもうひとつ思い出深いのは、やはりカロリーメイトだ。カロリーメイトのグレープフルーツ味、強烈だった。当時、チーズ味の方は大好きでよく食べていたのだけど、グレープフルーツ味は残念ながらいただけなかった。しかし、今ではグレープフルーツ味も大好きなのだから、人の好みというのは分からない。そして、カロリーメイトのグレープフルーツ味もポカリスエットも、今なお販売が継続されているのだから、大塚製薬という会社は大したものだと感心する。

 ポカリスエットのおかげ(かどうかは分からないが)で熱は下がり、長引いていた咳と青っ洟もやっとひっこんで、一安心。そして今は例の、原因不明の倦怠感だけがまた残った。その倦怠感も、近頃は少しましになってきた。病院で「試してみますか?」という感じで処方された漢方薬がようやく効き始めているのかもしれない。
 まったく今年は、春からずっと、病気をしてばかりだ。しかし、立冬を過ぎてやっと、まともに動ける体になってきたような気がする。やれやれ。この謎の倦怠感も、ポカリスエットですっきり洗い流せるといいんだけどな。