笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

こども初期救急センター


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 しばらく前に風邪をひき、半月ほどこじらせていた。今年の風邪は、熱は出ないかわりに咳と鼻水がひどい。最低限必要な用事以外では外に出ないようにし、人に会うのを避けるよう心がけていた。ここのところコロナは収束傾向だが、用心するにこしたことはない。
 それでも、毎日顔を合わせなければいけない人たちがいる。それは家族だ。
 そもそも、最初に風邪をひいたのは子どもだった。10月の中頃、急に冷え込んだタイミングで鼻をぐずぐずいわせ始めた。一週間ほどで一度治ったのだけど、子どもの風邪を僕がもらってしまった。で、僕がゴホゴホやっていたら、風邪を子どもに返してしまった。
 特に長男の咳がひどかった。休日の夜、咳がとまらなくなって息苦しそうになったので、病院に連れて行くことにした。といっても休日の夜だ、一般医院は診療を行っていない。子どもというのはどうしてこう、夜だとか休日だとかに怪我をしたり病気をしたりするのだろう。しかし、こんな時頼りになるのが、こども初期救急センターだ。

 神戸には、一般医院が休診の日や時間帯にこどもの診察をしてくれるセンターが、中央区のHATと西区の井川谷にある。僕の家からはHATの方が近いので、子どもを車に乗せて駆けつけた。僕はもう何度も、高熱を出したり怪我をしたりした子どもをここへ連れてきている。場所はすっかり覚えてしまった。
 駐車場は、十分な広さがある。ここで駐車ができなくて困ったという経験は、僕にはない。万が一、センターの駐車場が満車でも、そう遠くない場所にコインパーキングもあるから安心だ。
 建物に入るとすぐに受付があり、簡単に症状を尋ねられる。そして保険証と医療費受給証を見せて、問診票をもらう。
 問診票を記入しながら待っていると、まずトリアージ室から声がかかる。ここで看護師からもう少し詳しく問診をうけつつ、体温、脈拍、体重などのチェックをする。トリアージを行うということは、症状の深刻度に応じて診察の順番が変わったり、あるいは他の医療機関に搬送されたりする可能性があるということだ。トリアージを行うことの是非については人それぞれ意見があろうが、それがこのセンターのスタンスなのだから、そこは黙って受け入れるしかない。
 トリアージの後に、順番がくるのを待つ。診察の順番はモニターに問診票の番号で表示される。重症の患者が来院すると、突然新しい番号が前に割り込んでくることがある。一度だけそういう場面に出会った。ちょっとびっくりしたけど、トリアージがあるということは、そういうことなのだ。まあそれはともかく、とにかく自分の番号がどんどん進んで、一番上までやってくると、診察室からお声がかかる。

 息子の症状はさほど深刻ではなかった。というか、なぜかセンターに着いた時点で発作的な咳の症状は沈静化してしまっていた。ドクターは苦笑いで、「風邪薬を出しましょう。あと、念のために吸入をしておきましょうか」みたいなことを仰った。
 吸入は、処置室で行われる。診察室の山側にバックヤードみたいな場所があり、そこが処置室だ。コロナ以前には、処置室の広いところで吸入をさせてもらった覚えがあるのだけど、今は感染予防のためか、小部屋に通される。
 吸入が終わると、会計処理があり、その後に薬をもらう。薬は、次に一般医療機関の受診ができる日の朝の分まで出してくれる。それ以上の服薬が必要なら、普通のお医者さんを受診してね、ってことだ。院内処方なので、診療費とは別に薬代を取られないのは有り難い。できれば、風邪薬であれば五日分とか、そのくらい出してほしいところだけど、とにかく急場をしのぐ分はちゃんと用意してもらえるわけだ。

 子どもというのは、本当によく怪我をするし、病気もする。そしてさっきも書いたが、休日だの夜だのにかぎって、医者に行かねばならないような事態に陥る。休日・夜間に診察をしてくれるセンターの存在は本当に有り難い。

 ちょいちょいお世話になるので、あちらで僕たちのことを覚えているかどうかは分からないが、僕らの方は看護師さんたちの顔をだんだん覚えてくる。深夜の勤務は大変だと思うが、センターでの仕事をずっと続けていらっしゃる看護師さんのモチベーションの高さには頭が下がる。残念ながらドクターは、回り番の出張なのだろうか、毎回顔が違う。固定のドクターにいてもらえると患者としては安心なので、そういう風になるといいな。
 ドクターは基本、小児科・内科の先生だと思う。だから、内科的な症状であれば基本、センターで対応してもらえる。ただし注意しなければならないのは、怪我の時だ。一度、子どもが椅子から落ちて目から出血したことがあり、すぐにセンターに駆け込んだら、「眼科の先生がいらっしゃらないので、別の病院に行ってください」と、違う病院を案内された。普通の部位の怪我であれば簡単な処置はしてもらえるのだろうけど、目のように一般的な小児科で対応できない部位の怪我は、対応できないようだ。それ以来、「この症状(怪我)はセンターで看てもらえるだろうか」と少しでも不安に思ったときは、電話で確認してから出かけることにしている。

 もちろん、何事もなく過ごせればそれにこしたことはない。しかし、子育てに怪我・病気はつきものだ。何かあったときにすぐに看てもらえるという安心感はなにものにも代えがたい。センターの存在は本当に有り難いと思う。