笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

神戸大橋から望む港の夕景

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 今月の診察で、薬が変わった。四物湯という薬をやめて、黄耆建中湯(オウギケンチュウトウ)という薬を処方されている。飲み始めて数日たつと、薬が変わる前に感じていた倦怠感を一切感じなくなった。これが黄耆建中湯の効果なのかどうか、好調が継続するのかどうかは、分からない。しかし、調子がいいのはいいことだ。ここ数日は、とても楽に過ごすことができている。
 しかし、別の問題もある。何が問題かというと、とにかく体が冷えるのだ。特に下肢、腰から足先あたりまでの冷えがひどい。こんな症状を今まで感じたことがなかったからネットで調べてみると、運動不足のせいと書いてある。
 はい、認めます。僕は運動不足です。
 慢性疲労症候群の倦怠感の症状が出ると、出先でバテて動けなくなってしまうこともあるので、体が辛い時はなるべく出かけないようにしている。去年の春からほぼ一年間、そういう生活を送ってきたから、運動不足なのは当たり前。スタミナ、筋力の減退も感じる。こんな状態では、冷え性になるのも当然なのかもしれない。
 しかし、動けそうな時はなるべく運動量をかせぐようにしている。ここのところは調子がいいので、コロナの第六波がきている最中ではあるが、人混みのないような場所を選んで散歩するように心がけているのだ。

 で、ここのところ調子がいいので、久しぶりに徒歩で遠出してみることにした。目的地は、神戸大橋

 ある日の夕方、本当であれば中学校の吹奏楽部を指導しにでかけている時間帯なのだけど、中学校がコロナのせいで部活動を休止しているので、その空いた時間を使って出かけた。まず三宮に出てから、フラワーロード沿いに南下して、神戸大橋を目指す。オミクロン株を警戒してか、三宮界隈の人出は少なめだ。マンボウの発令が決定したことも影響しているだろう。
 市役所の足もとを通り過ぎ、税関の前を通って、ポートライナーの線路に沿って歩道を歩いて行く。すると、歩道の先に赤いアーチが見える。
 コロナ以前も時々、こうやって歩いて神戸大橋に来た。でも、徒歩でここまでくるのは本当に久しぶりなような気がする。何度か車で北公園まで来たことはあったけど、徒歩で最後に来たのはパンデミックの前じゃないかな。
 橋の真ん中まできて、ぼんやり海を眺めた。
 夕方と呼べる時刻の、ほんの少し前、あと数十分もすれば赤く染まるだろう夕日が黄色い影を港におとしている。写真ではうまくとれないのだけど、影の伸び方がムンクの描く月の影のようである。
 ところで、僕はムンクの「マドンナ」という画が好きだ。ずっと前に北欧を旅行した時、現物をオスロの美術館で観たことがある。いくつかバージョンがあるようだが、オスロで観たのはちょっと青ざめた色合いのやつだった。
 日本でも、どこかの美術館展のおとりよせの中にモノクロバージョンの「マドンナ」がはいっていたのを観た。でも、やっぱり彩色された「マドンナ」が僕は好きだな。一番好きなのはやっぱり、顔色がちょっと青ざめた、オスロで観たバージョン。一人の少女の中に、生と死、無垢と穢れが同居している。何かに絶望したような人でなければ描けない、すごい絵だ。
 可能であれば、またオスロまで行ってその絵を観たい。パンデミックが収束して、ヨーロッパの情勢が落ち着いた後に。行けるだろうか。

 橋のポートアイランド側の橋まで来て、北公園に降りるかどうか迷ったのだけど、階段を降りたら帰りは上らなければならないのでそれが煩わしく思え、やめてそのまま引き返した。三宮までもどると、脚がぐったりと重い。北公園に降りなくて正解。
 オスロに行くなら、体力も戻しておかなければ。さて、明日はどこまで歩こうか。そんなことを考えながら、家路についた。


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