笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

プロトレック


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 カシオのプロトレックを愛用している。もう15年も使っている。かなりへたってきているが、まだ現役である。もし壊れたら、多分もう一度プロトレックを買うだろう。僕にとって、なくてはならないもののひとつだ。

 プロトレックを選ぶ理由はいくつかある。
 まず、気圧計とコンパスがついていること。
 気圧計は天気が変化する予兆を知るのに役立つ。気圧が急降下したときは雨のサインだ。まめにチェックしていると、濡れずに済む。コンパスは、紙の地図と併用するときに必要である。今はスマホのマップがかなりあてになるので、ほとんど出番はないけれど、初めて訪れる土地や、電波の届きにくい山間部を歩き回るときにはコンパスがあると安心だ。
 次に、オートバックライト機能があること。
 これは僕には必須機能と言っていい。僕はアマチュアのフルート吹きで、音楽仲間からステージスタッフや写真の撮影を頼まれることがある。ホールという場所は、本番のステージとロビー以外は基本、暗い。ステージの袖や本番中の客席、プログラムの合間で照明の落ちたステージでは、バックライトのない時計は役に立たない。タイムテーブル厳守の現場で、作業しながら時刻を確かめる必要がある時、手首を傾けただけで時刻が確かめられるオートバックライトはとても役に立つ。
 ステージの仕事では、電波受信の自動時刻あわせとソーラー充電機能も大事だ。時刻合わせやバッテリーのへたり具合を気にしなくて済むのは、精神衛生上とてもいい。電波式の時刻合わせも±1分程度の誤差はあるようだけど、それくらいなら許容範囲。シビアな現場なら手作業であわせればいい。でも、気がついたら止まっていたとか、知らない間に大幅にずれていたというのは困る。放っておいても概ね正確な時間をキープし続けてくれるのは有り難い。

 そして、この時計はとにかくタフだということ。
 驚くべきは防水機能。本当は水泳に使ってはいけないようだが、僕は腕に巻いたままバシャバシャ泳ぐし、身につけているのを忘れたまま温泉に入ったこともある。汗をかいたら流水でジャブジャブ洗う。さすがにダイビングはしないけど、底に足のつくプールで子どもと一緒に潜って遊ぶくらいなら全然問題ない。
 衝撃にも強い。どれくらいの衝撃まで耐えられるのか知らないけど、コンクリートの壁に強く打ち付けたり手を滑らせてアスファルトに落下させたりするぐらいの経験は何度もある。ベルトも強靱だ。子どもが掴んで引っ張ったぐらいではびくともしない。
 このベルトのタフさは本当に感動モノで、外からかかった力に強いというだけなく、経年劣化の少なさがとにかく凄い。普通、こういう樹脂のベルトって数年で劣化して切れてしまうことが多いけど、プロトレックのベルトは15年間一度も切れなかった。以前、ミルスペックを謳っているダイバーを使っていたことがあるが、その時計の樹脂ベルトは3年程度で切れてしまった。時計のベルトは案外高価で、樹脂ベルトといえども純正品は数千円することがある。ベルトの丈夫さは、経済性も求められる実用時計が備えておくべき大切な機能のひとつだと僕は思う。

 そんなプロトレックだが最初にも書いたように、さすがに15年も使うとへたってくる。ベゼルは削れて地金が見えているし、ベルト表面の表面にはこびりついて落ちない汚れがある。見た目も消耗しているが、機能にも疲労が目立つ。一番弱っているのは液晶で、日に当たったりして少し温度があがると、数字の表示が乱れるようになってきた。
 一生モノというほど高価なものでもないし、さすがにもう新調してもいい頃なのかもしれない。でも、ずっと使っている道具には愛着がある。近頃は、新しいプロトレックはどんなだろうとカタログを眺めつつも、何となく、買い換えをためらっている。
 あと何年くらい使えるだろうか。ぜひ、想像を超えるタフネスを発揮して僕を驚かせて欲しい。