笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

鬱な気分に、Moanin'

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Every mornin' find me moanin'
'Cause of all the trouble I see
 ・・・


俺は毎朝うめきながら目覚める
いいことなんか、ありゃしねぇ
 ・・・(もぐら訳)

 

「Moanin'」 Lyric:Jon Hendricks

 

 トランペットのトレーニングを続けている。
 去年の初夏に本格的にリスタートして、季節3つ分頑張った。特別な事情がなければ毎日20分程度吹いている。本格的に寒くなる前は公園まで出かけていってオープンで吹いていたけど、この頃は寒いので、家でプラクティスミュートを使う。練習内容は、スケールとリップスラーが中心。
 少し前まで、第5倍音のDが最高音だったのだけど、今は調子が良ければ第6倍音のFが当たる日もある。Hi-F、無理すれば打率25%ってところか。しかし、無理をするとアンブシュアが崩れるので、一回の練習で1回出せればいいことにしている。高い音って、「こうすれば出るよ」みたいなコツが動画で紹介されていたりするけど、根本的には、高音を出せるアンブシュアの筋力がないとダメだよね。そして、その筋力を得るためには多少、頑張ってターゲットになる音を出すことをトライしなければならない。だから、多少のアンブシュアの崩れは容認しつつ、筋トレ的に高音の練習はするけど、このトレーニングに終止すると疲労がたまるし、悪いクセがつく原因にもなるから、ほどほどにするのが大事だと思っている。

 特別な事情がなければ毎日20分・・・と、さっき書いたけど、先だってオケの本番があり、その日の3日間ぐらいはトランペットを吹かなかった。それはもちろん、フルートを吹くための時間と体力を確保するためだ。
 中学生を教えるようになって、日頃、フルート以外の楽器に割く時間が多いので、さすがに本番前くらいはフルートに集中するようにした。そして一ヶ月ぐらいは、余暇の時間すべてをフルートの練習につぎ込んだ。集中的にフルートを練習すると、自分の腕がいかに鈍っていたかが分かる。こりゃ、やべェ。焦った。久しぶりにタファネル&ゴーベールなんかやっちゃったりして、まずフィジカルを取り戻すところから始めた。大変でした。だがお陰で、本番はそれなりに何とかなったのではなかろうか。慢性疲労症候群になってから、原因不明のミスが多かったのがずっと悩みだったのだけど(しかも凡ミス)、今回はかなりミスが減った・・・というより、本番でのミスはほぼなかった。症状の改善が認められると思う。
 しかし、まあね、疲れはしましたよ、本番も、その前の練習も。本番の一週間前くらいから頭痛がひどくて、あんなに立て続けに頭痛薬を服用したことは、人生で一度もなかったんじゃないかな。それで稼いでいるわけでもないのに、なんでそんなに頑張るの? と自分でも変な気がしたけど、うーん、何だろうね・・・責任感かな。オケってやっぱり、チームワークなので、その演奏会に乗りますよと意思表明したからには、誠意を尽くす必要があると僕は思っている。
 そして、本番が終わって10日くらい経つのだけど、頭痛こそないものの、蓄積した疲労にまだ苦しんでいる。慢性疲労症候群の、この、疲れやすさ、疲れのヌケにくさは、本当に地獄だ。早く治ってほしい。もうホント、願いはそれだけ。症状の改善は認められるとさっき書いたが、まだまだ、道半ばだ。

 身体的な疲労感、倦怠感、そしてブレインフォグはもちろん辛いが、同じぐらい辛いのが、症状が出ると鬱的な気分に悩まされることである。
 体がしんどいと、「なんか気が乗らない」とか「どうにもやる気がでない」とか「嫌なことばかり考えてしまう」といったような、ネガティヴな気分に陥ってしまう。逆のパターンもあって、なんか鬱な気分だなと思っていたら、後から体がしんどくなる、ということもある。健康な人だって疲れている時にはやる気が出ないのは普通だろうけど、なんだろうな、そういうのとはちょっと違うんだよ。いや、根本的には同じなんだろうけどね、程度が違うっていうのかな、もっとドーンと気分が落ちたり、気分を変えようとしても中々うまくいかなかったりするのだ。
 それでも何とか、その鬱気分と折り合いをつけて、仕事をしたり生活したりしている。生きてるだけマシ、なんて思ったって、励ましにもならないけど、家族や友人がいてくれることを支えに、絶望だけはせずに済んでいる。他のことは、なるようになれ、だ。

 最近、ピアニストのキース・ジャレットが90年代に、僕と同じ慢性疲労症候群にかかって2年ほど活動休止していたらしいと知った。休止後は演奏活動に復帰し、Wikiによれば2017年までは活躍したようだ。
 慢性疲労症候群は、長ければ回復に4、5年かかる、ということらしいけど、逆に言えばさ、長くても5年ぐらい経てば何とかなるってことでしょ? 僕は今、罹患から2年半なので、最長コースの折り返し地点にはきてるってわけだな。まさに、道半ば。で、ここでターンして、ゴールまで走りきれば、また普通の生活ができるはず、と信じる。信じたい。