笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

サックスのA#の指使いを変更する。

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 サックスのA#(Bb)の指には、おおまかに分けて、3通りの方法がある。ひとつが、bisキィを使う運指、次に、右手の指を組み合わせる運指、最後に、サイドキィ(TA)を使う運指。
 どれを使っても、普通にA#が出るけれど、僕は何となく、TAを使う運指を気に入っていて、そればかり使うのが習慣になっている。手のひらで押さなければいけないので、ちょっと面倒な感じがするが、慣れればどうってことない。今では、A#(Bb)の音符を見ると、自動的に右手がTAを押している。
 去年の冬にもう一度、本格的にサックスを吹けるようにしようと決意して、トレーニングを始めた。それから1年がたち、その間にはサックスであがるステージもあり、それなりにスキルは上がってきたように思う。数年間の休止期間にはいる直前よりも、少し上達したんじゃないかなあ。イントネーションも改善したし、発音も楽になったし、指も回るようになってきた。
 で、お察しの通り今回は、指の話になるわけだけど、指が回るようになってきて、細かい音符の並ぶフレーズにチャレンジできるようになってきたのだが、近頃はTAを使った運指では対応できない場面が増えてきたと感じるので、デフォルトの運指を変更することにした。

 BPM=180~200ぐらいで、八分音符の連続を吹くくらいなら、今までの運指で問題なかった。しかし、十六分音符の連続や、八分音符でもBPM=250前後になってくると、TAでは厳しい。右手の動きが追いつかないのか、左右の手の動き(左手中指と右掌)の連携が悪いのか、原因はまだうまく切り分けられていないのだけど、とにかく、指がもつれて正確に演奏できない。
 それなりにトレーニングをして解決を試みたのに単純なFメジャーのスケールさえ怪しいので、これは何とかしなければならない、という結論に僕は達したのだ。
 方法は単純、別の運指のトレーニングをするのである。
 最初に書いた通り、A#(Bb)にはおおまかに3通りの運指がある。僕が習熟しているのはTAを使う方法。なので、それ以外の2つの運指に慣れる練習をするのだ。

 さっそくやってみよう。
 まずは右手と組み合わせる運指。人差し指、中指、薬指のどれを押さえてもA#は鳴るけど、まあ普通は人差し指だな。フルートの標準運指と同じ指使いになるので、よく慣れているしね。・・・と思っていたのだけど、any keyのスケール練習をしてみたら、自然とTAに運指が流れてしまって、中々うまくいかない。フルートだと、普通に吹けるんだけどな、変なの。まあ、やりこんで慣れるしかない。
 案外、A#(Bb)→Cと流れる時に、左手の人差し指と中指を交換しつつ、右手人差し指をリリースするという動作が難しい。この動き、フルートだと左手が、サムキィ(左手親指)をリリースするのだけど、体が「フルートはこのパターン、サックスはこのパターン」と別々に覚え込んでしまっているせいか、かなり意識しないとうまくいかない。
 うへぇ、こりゃ時間かかるぞ。覚悟しとかないと。
 そして、もう一つがbisキィを使う運指なのだけど、コレが! 難しい! なんだこりゃ、すっげー難しいぞ?
 シンプルにFやBbのメジャースケールをさらっているのだけど、左手人差し指を中指側に寄せるという動作が・・・難しい! この動作はサックスに特有で、同じような働きをするキィがフルートの場合だとブリチアルディキィというのだけど、それは左手親指のところについていて、操作がサックスとは異なる。そして、人差し指の位置がほんの数ミリ変わっただけなのに、おそろしく指を回しにくい。
 うへぇ・・・、これも時間かかるぞ。頑張らないと。

 多分、この練習って、筋道立ててサックスのトレーニングを始めた人なら初心者のうちにやりこむんだろうな。でも僕はサックスを、仕事の合間をぬってフルートとトロンボーンの片手間に始めたせいか、この手の基礎的なトレーニングを今まであまりやってこなかった。フルートのキャリアが長いお陰で、サックスも最初からある程度吹けてしまった、というのも原因かもしれない。
 しかし、今到達している演奏レベルよりも、もう一歩先へ進むのなら、これはクリアしなければならない課題だ。相当面倒だけど、やるしかない。サックスは音のでかい楽器なので、自宅で吹くことができない。でも、サックスを触れる時間がある時は、なるべくやるようにしよう。
 で、実は僕の場合、このA#(Bb)のトレーニングを、EWIを使って行うことができるのだ。EWIの運指はサックスの運指に対応していて、なんとbisキィまでついている。生サックスと完全に同じではないが、かなり近い感覚で演奏できる。
 やってみると僕の右手は、ついTA(に相当するセンサー)を触ってしまうという、サックスと同じ症状を呈する。これをね・・・とにかくこのキィじゃなくて、右手人差し指を使うようにクセづけていく。こういうのはとにかく、時間をかけなければならない。逆に言うと、時間をかけさえすれば、確実に問題を解決できる。EWI、持ってて良かった。生楽器を触れない時間でも練習できる。素敵。EWIでできるからって、生サックスでやらなくていいわけじゃないが、練習期間を短縮できるのは間違いないように思う。

 ここのところ、パーカーにハマっているので、EWIでスケールをやりこんだ後には「Confirmation」「Ornithology」「Dona Lee」などをさらう。体力に余裕があると、ロリンズの「Oleo」も。黒本のin Cとin Bbを持っていて、大抵はin Cでさらうのだけど、いつか手に入れられたらアルトで吹きたいと思っているので、in Ebも欲しいな。やる曲だけトランスポーズして吹いてもいいけど、それなりに面倒だしなあ。それに、in Cでさらっても、フルートだと音域が中途半端で、なんだかイマイチだし。やっぱりパーカーは、アルトで吹く前提で曲のキーを決めてるよね。だとしたらなおさら、アルトで吹きたい。あー、アルトサックスほしい。

 まあ、金のかかる話はとりあえず今はおいておくとして、とにかく時間をかけることにしましょう。さて、練習練習。