笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

トマトラーメン

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 今年はいつまでも残暑が厳しかった。もう冬なんて来ないんじゃないか? なんて思っていたら、10月になった途端涼しくなって、ああやっぱり季節は巡るんだと感動した。
 気温が下がると、急に食欲が湧いてくるのは、哺乳類の本能なのだろうか。何となく、脂っ気のあるものが欲しくて仕方がなくなる。慢性疲労症候群になった当初、急激に落ちていく体重をキープするためにバカ喰いをしたら胃腸が不調をおこしたのがちょっとしたトラウマになっていて、あまり極端な量を食べるのは控えるようにしているが、この季節だけは何となく、牛丼やラーメンを間食として摂取することを自分に許している。
 先月僕はトロンボーンを買ったので懐具合が寒く、ここのところはラーメン欲をカップラーメンでしのいでいた。でも、家族で外食をする機会があり、息子が「ラーメンがいい」と言ったので、久しぶりにお店のラーメンにありつけることになった。
 向かった先は、ラーメンたろう。うちの子どもたちはたろうのラーメンが気に入っていて、家族で出かけてラーメンを食べるときは大抵、ラーメンたろうだ。

 さーて、何食べようか。ラーメンたろうは、ラーメンの選択肢が豊富でいい。ああでも、ちょっとメニュー絞ったのかな? カレーラーメンってのがあったはずなんだけど、見当たらない。でも、トマトラーメンは残ってるな。よし、今日はトマトラーメンにしよう。

 トマトラーメンなるものを最初に味わったのは、20代の頃、オーケストラの練習の帰りに、大学の先輩に新宿のお店に連れて行かれた時だったっけ。その時僕はもう就職していたけど、その先輩がおごってくれたように記憶している。冷製ラーメンで、だしのきいたスープに湯で剥いたトマトがどぼんと入っていた。結構、衝撃的だったのを覚えている。だって当時は、ラーメンとトマトが一緒になった料理なんていうのは、僕の発想にはなかったから。だって、中華とイタリアンだぜ? 結びつくわけないじゃん。でも、うまかったなあ。これを考えた人は天才だと思った。
 そのお店、夜中に車で連れて行かれたので、新宿のどこにあったのか全然分からず、再訪することはなかった。

 次に僕がトマトラーメンを食べたのは、第一旭という三宮にあるお店だ。古い友だちと訪れ、その友人が薦めるので食べてみた。こちらのトマトラーメンは、ホット。新宿のとは違い、スープが真っ赤で、中華麺がトマトスープに入っているような感じだ。ピリッと辛いのが特徴で、新宿のラーメンは中華寄りだったけど、こちらはイタリアン寄りな味わいだ。同じトマトラーメンでも、ホットかコールドかでずいぶん違うもんだと驚いた。
 で、ラーメンたろうのトマトラーメンがホットかコールドかというと、ホットの方。第一旭のものと違って、基本は辛くない。もし辛いのが好みなら、テーブルセットに備え付けてあるタバスコをふりかけるスタイル。以前、違うお店で頂いた時には粉チーズもあったような気がしたのだけど、今回訪れたお店にはなかった。店舗によるのかもしれないね。

 それにしてもラーメンという食品は、懐の深い食べ物だ。どんなアレンジをしても様になる。そして多様だ。十杯あれば十種類のスープがあり、百杯あれば百通りのトッピングがある。面白い。今後も、色んなラーメンが出てくるんだろうなあ。是非、突拍子もないラーメンが食べてみたいね。例えば、そうだな、「お好み焼きラーメン」とか「珈琲牛乳ラーメン」とか。ちょっと名前を聞いただけでは美味しくなさそうなのに、食べてみたらおいしい、みたいなのを期待している。

 たろうのトマトラーメン、相変わらず美味しかったです。でもやっぱり、粉チーズほしいな。是非、復活させてください。