土曜の朝に、三宮あたりを散歩しにでかけた。午前11時過ぎ、歩いたら腹が減った。ちょっと早いけど、昼飯にすることにした。
寒い日が続いているので、今日もラーメン・・・とラーメン屋に入りかけたけど、なぜか味噌汁がすすりたい気分。定食みたいなのがいいなあと思いながら歩いて、寒風を避けるために地下街に入ると、黄色い暖簾が僕を誘ってくる。
幸福源。
それは三宮の地下にある三宮市場の西の端にある、中華屋さんだ。飲食店の密集しているさんちかからはちょっと遠い。その分、お値段ちょっとお安め。日替わり定食が600円である。
今時、三宮のど真ん中で、600円で一食食べさせてくれる店なんて、もうほとんどないんじゃないだろうか。僕が学生の頃は、500円以下でランチを出している店がまだいくつかあって、そのうちの一つがつい最近までまだ営業していたのだけれど、去年ついに店を閉めてしまった。ワンコインのランチはもはや、平成の伝説となりつつある。
こういう風に言うと、「600円だって、ワンコインじゃないじゃん」という声が聞こえてきそうだ。しかし、幸福源の日替わり定食には必ず唐揚げの小皿がついてくる。これ、100円分以上の値打ちはあると思うよ? なしでいいから500円よりは、100円プラスで唐揚げ付きを僕は選ぶなあ。
意地でもワンコイン、という方には、500円以下で食べられるお料理もある。最高。
土曜の昼とはいえ、11時台前半なのにカウンターはすでに満席。その日の日替わりは、酢豚定食。それを注文して待つと、テキパキと動く奥さんが湯気のたつお皿をお盆に載せて運んできた。もちろん、唐揚げもついている。
お財布がいつも寂しい僕は、ワンコインで食べられる三宮周辺のお店をいくつか知っているけれど、その数は随分少なくなってしまった。そして、センター街周辺では、この幸福源さん以外にはもうないんじゃないかな。みんな店を閉めてしまうか、値上げしてしまったかのどちらかだ。ちょっと、寂しい。
資本主義経済の理想は、ゆるやかなインフレーションの継続。だから、値上げを悪いとは言わない。けど、僕みたいな財布の軽い庶民にとっては、ワンコインでねばってくれるそのプライドが有り難い。しかしまあ、ラーメン一杯が紙幣を出さないと食べられない時代になってきたのだから、値上げもやむなし。幸福源さんには、無理のない範囲で頑張ってほしいなあと思う。加油!