笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

アンブシュア、変えました。

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 トランペットの練習を続けている。
 先だって右手が痛んだので、少し練習量を減らして様子をみたら、知らぬ間に痛みはぬけた。そんなに強烈な量の練習をしていたわけではない。一日、30分程度だ。でも、慣れないことをするのはやはり体に負荷がかかるんだね。しばらくの間、一日に15分から20分ぐらいの量に減らしたら(ちょっと物足りないけど)、状況は改善した。
 練習やりすぎ・・・とは思わなかったけど、とにかく、無理は禁物ってことらしい。

 そうそう、無理といえば以前に、マウスピースの位置を唇の真ん中に戻したという話をしたけれど、あれ、やめました。僕の唇と歯並びは、やっぱりどうやら、トランペットを唇の真ん中で吹くのには向いていないみたい。フォルテを吹くために息の圧力をかける時に、センターの方が吹き込みやすいのは確かなのだけど、柔軟に音の高さや長さをコントロールすることができないのだ。そういう訳で、僕のトランペットのアンブシュアは、マウスピースがやや右に寄る形に落ち着いた。

 唇の中央にマウスピースのリムが乗るような構えは、見た目にイビツではあるが、演奏には差し支えない。ていうか、この位置にマウスピースをおくようにして2、3日で、「今までの僕の努力は何だったのか」と悲しくなるほど、自由に吹けるようになった。高音域も楽に出せるし、適正な息の圧力のコントロールができれば、ちょっと早いフレーズも吹ける。今はむしろ、アンブシュアよりもピストン操作の限界値によって演奏が制限されていると感じるくらいだ。
 あと、マウスピースも変えた。バックの5Cをずっと使っていたのだけど、「なんか狭いよな」という感覚が出てきたので、もう少しカップ径の大きいヤマハの14と16を手に入れた。で、今は14C4を使っている。16はちょっとデカすぎた。14がバックの3Cに近いと誰かの記事で読んだからそうしたのだが、ヤマハは音色が明るすぎてあまり好みではないので、機会があればバック3Cも試してみたいと思う。

 コーカソイドの歯並びや面構えを前提にしたマウスピースの設計や選択ロジックは、モンゴロイドにはフィットしない場合がある、というのは、金管楽器アンブシュアを話題にする時によく言われることだが、人種に関わりなく、個人個人の事情にあわせて柔軟にマウスピースを選ぶことは大事だと僕も思う。また、体格の変化や演奏にあわせてマウスピースを変えることも時には必要になるだろう。特にティーンエイジャーは、数年の間に劇的に体格が変わるのだから、時々マウスピースを交換を検討するのはいいことなんじゃないかな。
 弘法筆を選ばず、とことわざには言うけれど、弘法と呼べるような人はほんの一握りしかいないのであり、弘法でない僕たちは、道具をきちんと選ぶべきだ。

 それにしてもしかし、トランペットという楽器は難しいな。アパチュアの位置が数ミリ、マウスピースのカップ径がコンマ数ミリ違うだけで、全然吹けないんだもん。もちろん他の楽器だって、フルートのアパチュアが1mmずれたら大事だし、リード楽器のリードの取り付けは「ティップから髪の毛一本分ひっこめる」だし、トランペット同様にシビアなところはあるんだけど、そのズレの修正のしにくさや、演奏にもたらす悪影響の大きさが桁違いな気がする。
 まあそれでも、やっと、練習するのが楽しいと思えるくらいには吹けるようになってきた。ふう、長かったぜ。トランペットは、この、演奏の入り口までたどり着く距離も長い気がする。僕の場合、ブランクも長かったわけだけど、ちゃんと練習した期間を合算すると、1年半ぐらいになるだろうか。よかった、吹けるようになってきて。

 トランペットは、難しい。そして、柔軟に発想の転換を行うことや、新しい方法にチャレンジし続ける勇気と忍耐力が必要な楽器だ。しかし、正しくもがき続ければ、自分なりの道が拓けていく。音楽は色々なことを僕に教えてくれる。トランペットと音楽に、感謝。