笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

フルートのヘッドコルクは音色に影響するって話

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 メインの機材にトラブルがあった場合のサブ機として、子どもの頃に使っていたYFL-311Ⅱを手元に置いている。近頃は、中学校に持っていったり、屋外で吹いたりする時にも使う。あまり出番はないのだけど、何年も修理に出していないので、一度点検してもらうことにした。サブ機とはいえ、いやむしろサブ機だからこそ、いざというときに使えないのでは困る。楽器に限らず、道具にはメンテナンスが必要だ。特にフルートみたいな、メカニカルなやつは。
 20年くらい前にオーバーホールして、その後、何度か調整に出してはいるはず。ただし、ここ10年くらいは診てもらっていない。調子は悪くない。時々、タンポがひどくベタつく時があるくらい。トーンホールが汚れてるのかなあ。
 僕は、フルートは基本、東京の秋山さんに面倒をみてもらっている。でもなあ、この楽器、グレード的にもコンディション的にも、秋山さんに診てもらうほどのものではない。東京に送る手間もそれなりに面倒。そこで、以前サックスを調整してもらった近所の楽器屋さんに出すことにした。
 電話で大体の事を伝えてから、お店にお邪魔し、リペアマンさんに楽器を渡した。その場で見積もりをとってもらう。点検調整で四千円くらい。あと、「ヘッドコルクを替えた方がいいですねー」ということで、プラス二千円くらい。

 ヘッドコルク? そんなに傷んでる?
 あーでも、傷んでいてもおかしくない。このYFL-311Ⅱは、しばらく湿気のおおい場所に保管していた時期があり、そのせいでケースの表面がバリバリに割れてGATORのケースに替えた。ケースの表装が割れるような環境に置いていたのだから、ヘッドコルクも悪くなってても不思議じゃないよな。じゃあ、交換お願いします。

 このヘッドコルクというやつ・・・頭部管の中に入っていて、反射板を支えているのだけど、時々、交換が必要になる。
 僕は、ヘインズのヘッドコルクを替えてもらったことがある。二度替えたかな。オーバーホールで一度、それ以外で一度。何だか音色にひどく締まりがなくなったことがあり、その時は目白のお店で相談した。そしたら、ヘッドコルクが傷んでいると指摘され、交換することになったのだっけ。
 反射板を支えているに過ぎないコルクが、なぜ音色に影響するのかは分からない。反射板の位置さえちゃんとしていれば、問題ないはずなんだけど。ただ、さっきも書いたとおり、傷むと音色がスカスカになる。締まりがなくなって、音が全然飛ばない。で、コルクを新しいものに替えてもらうと、音色がシャキッとする。不思議。
 でも、ヘッドキャップの重さを変えたりすると、音色が変わるっていうもんなあ。そういや、今オケで一緒に吹いている人も、別売りのヘビータイプのヘッドキャップに交換して使ってるって言ってたっけ。それと同じで、コルクの重さや密度でフルートの音色が影響をうけるってこともあり得るんだろう。楽器って、面白い。

 楽器は、半月ほどお店に預けた。
 せっかく調整してもらったので、そのまま仕舞わないでちょっと吹いてみると、おお、やっぱり違うねえ、よく鳴る。吹奏感に大きな差はないのだけど、響きに締まりがでた。調整前もそんなに悪い響きじゃなかったが、比べると特に低・高音域の・・・なんて言えばいいかな、音の芯・・・支え・・・やっぱり、締まり、だな・・・締まりがいい。響きが散らない。音程と音色がハッキリする。いいじゃん。

 日々使っている楽器なら、異常にもすぐ気づくのだろう。しかし、普段は眠らせているサブ楽器のコンディションの悪化って見落としがち。よほど悪ければさすがに気づくのだろうが、ヘッドコルクの消耗とか、全然気づかなかった。それに気づいたリペアマンさんは大したもんだと思う。僕から言ったわけでもないのにね。
 管楽器奏者の間で、「リペアどこに出してる?」っていうのは時々酒の肴になるトピックで、このリペアマンさんって、僕の周りでは全然誰の口からも名前の挙がらない人なんだけど、実はいい腕前の人なのかもしれない。