笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

写真にはフレームが必要だ

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 絵画や版画、写真、オブジェの周囲をマットや額縁で装飾して保護することを「額装」と言いますが、この言葉は主題そのものを引き立てると同時にそれらが飾られる空間をも装飾するという意味を含むと言えます。

「ENCADREMENT」 Atelier YO 草土出版

 

 北野のスターバックスを時々利用する。本を読んだり、こうやって作文したりするのに、家だと気が散る時、気分を変えるためにやってくる。できるだけ静かに読書したり作業したりしたいので、同じように一人で黙々と過ごす人の集まる部屋を選んで座席を確保する。一番いいのは二階西側の、写真がいっぱい飾ってある部屋だ。おしゃべりしたい人は、東側の窓のある部屋を選ぶことが多いので、東側の席がうまってくる時間帯以前なら、静かに座ることができる。
 ここにいる時に僕は、読書に疲れると、壁一面に飾ってある写真を眺める。モノトーンの写真がフレームに納められていて、とても感じがいい。コーヒーマシンや街角のカフェ・・・素敵だなあ、と思う。
 僕も写真は好きなので、同じように摂ってみようとトライすることがある。あのパースだとだいたい何ミリのレンズで、それからああいう構図でキメて・・・パシャリ。すると同じような写真が撮れる。
 そして自分の撮った写真と、スタバの壁にかかっている写真を見比べてみる。すると、何だろうな、同じなんだけど、違う。いつもそうなんだ、何か、違う。どこが違う? スタバの壁にかかっている写真の方が、断然、素敵。どうして?

 長い間、どうして違うのか分からなかった。でもある日、ふと気づいたんだ。フレームが大事だってことに。
 そういや昔、気に入っている写真はフォトフレームに入れて飾る習慣があった。以前は、そういうものだと思っていた。しかし、写真がデジタルになり、スマホで簡単に見られるようになって、写真をプリントするという習慣がなくなり、そうするともちろん、写真をフレームに入れて飾るということもしなくなった。
 そんな風になって一体、どれくらい経つだろう? フレームだけじゃない。アルバムも作らなくなった。フォトスタジオで撮ってもらった写真を製本してもらったり、園や学校でプリント販売している写真はアルバムに納めたりはするけど、自分で撮った写真はほぼプリントしない。
 でも、「これはよく撮れてるなあ」という家族の写真を気まぐれにプリントすることはあって、そういうのは園や学校の写真と一緒にアルバムに入れることがある。するとやっぱり、スマホやPCの画面で見るよりずっと、見栄えがするのだ。
 写真はやっぱり、プリントするべきだね。そしてフレームに入れるべきだね。あるいはアルバムに。
 スタバの写真は、フレームの中にさらに余白の部分があって、その内側に写真がおさまっている。「写真 in 余白 in フレーム」の三層構造。うーん、美しい。フレームまで込みで、ひとつの作品になっている。面白いな。
 今まで、理由がなければ写真を印刷せずに過ごしてきたけど、気に入った写真が撮れたら一度プリントしてみるというのはいいことかも知れない。全部を額装して飾るとなると、狭い我が家の壁はすぐにうまってしまうので、写真だけ定期的に入れ替えるのがいいかもしれない。やってみようっと。