メルトンの生地が好きで、若い頃からメルトンのコートをよく着ていた。僕が学生の頃はダッフルコート全盛で、腰下ぐらいまで裾のあるコートを着た男子学生をキャンパスでよく見かけた。僕は、あのトグルの扱いが何となく煩わしくて、比翼仕立てにしたジップアップのコートを着ていたっけ。もちろん、メルトン生地だった。
今でも、メルトン生地のトップスは、昔よりは少し丈の短いピーコートとジャケットを持っている。メルトンは、ローテクなファブリックの中では比較的、防風性と耐寒性が高い。ちょっとシュッとした格好をしたいけど、ちゃんと防寒したい時には、メルトンのコートが役に立つ。締めるべきところをきちんと締めていれば、まず凍えることはない。
去年、吹奏楽を教えに行っていた中学校には、基本スーツで伺っていたけど、厳寒期だけはメルトンのジャケットを着ていった。ある程度シュッとした雰囲気を保ちつつ、カジュアルに流れすぎないのでちょうど良かった。しかも寒くない。
ピーコートの方はしばらく着ていなかったのだけど、久しぶりにクロゼットから出して、虫干しがてら羽織って出かけた。ジャケットより厚手の生地で仕立ててあるので、ちょっと動きにくいけど、暖かい。いいね、メルトン、やっぱり好きだ。
誰に会うにも気を遣うことなどほとんどなくなってしまって、普段は気軽な登山着ばかり着ている僕だけど、たまには色気も出さないとね。