笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

ユニクロのフリース


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 正月に家族で実家に寄った。実家には老母が住んでいる。その母が、真冬はいつもタオルを首に巻いて防寒しているのだけど、ちょっと見苦しい。なので、もうちょっと小綺麗な格好をさせるのが息子の義務ではないかと思い、何か暖かい上着を贈ることにした。
 ゆったりとして暖かい部屋着といえば、現代人なら普通、フリースを想像するだろう。僕もそれしか思いつかなかった。この冬はつくづく、フリースに縁がある。
 洗い替えも考えて二着贈ることにした。すると、あまり高価なものは買えない。で、廉価なフリースと言えば、ユニクロ。今、ユニクロのフリースは一体いくらするんだろうと思って調べると、セール価格1290円。マジか。想像以上の廉価。そんなんでええの? まさかサラやのに穴開いとったりせんやろな。

 とにかく現物を見てみなければ。そう考えて、近所のユニクロに家族で出かけてみた。家族で行ったのは、母からお年玉をせしめた子どもたちに、せめて贈り物の色だけでも選ばせようと思ったからだ。新年の人出でにぎわうハーバーランド、人混みをかき分けてユニクロを目指した。
 さて、フリースはどこだ? 特価品なので目立つ所にあるだろうと思って、みぎひだりと見回すと、あったあった、レジのすぐ前に平積みされている。カラーバリエーションが・・・いくつだ? すぐには数えられない。八色ぐらいはあるだろうか。すげえ。
 しかも、毛足の短いのと長いのがある。どっちがいいかなと手触りを比べて、毛足の長い方、ファーリーフリースと銘打たれた商品を手に取って広げてみた。お、いいじゃん。とても1290円には見えない。ジッパーはYKK、なめらかに滑る。縫製も悪くない。これ、ホンマに1290円? 値札を何度も確かめたが、間違いはないらしい。
 サイズ感を確かめるために、妻に羽織ってもらう。僕の母は、妻より縦にやや短く、横に少し広い。なので、妻と同じサイズを買えばちょうどいいのだ。ウィメンズのLサイズがちょうどいいと妻は言う。着心地はどうだと訪ねると、「とてもいい」と返事が返ってきた。よし、これに決めた。

 ユニクロのフリース、二枚買ったって3000円にもならない。なので、買い物に付き合ってもらったお礼に、僕の小遣いからおごりで妻にも一着買うことにする。すると妻は、「せっかくだから自分のも買えば?」などと言い始めた。フリース、正直に言えば僕が自分で着る分については間に合っているけど、でも1290円なら試してみてもいいかという気がして、まずは僕も試着してみることにした。
 当たり前だけど、僕は男性なのでまず、メンズのフリースジャケットのコーナーに移動。そして、Mサイズで間違いないと確信はしているのだけど、一応サイズを確かめるために、羽織ってみる。
 おおおお・・・暖かい。くどいようだが、これが本当に1290円か? 正直に言おう、モンベルのクリマエアより暖かい。暑いくらいだ。なんだこれは。こんなものをこの値段で売っていいのか? 何かの法律にひっかかったりしないのか? 何か落とし穴があるんじゃないかと、妙に勘ぐって不安になる。それぐらい、暖かいし、ちゃんとしてる。
 ちょっと混乱しながら、試着したフリースを脱いだ。すると僕の上半身から、パチパチパチッ、とものすごい音がした。静電気である。
 見つけた、これがユニクロのフリースの弱点か! そうだよね、そうだよね、1290円だもんね、静電気発生するよね・・・何だかかえって安心してしまった。
 しかし。
 静電気は、洗濯するとマシになるらしいとグーグルさんに教えてもらったので、買って帰ってすぐに洗濯。この静電気を何とかしなければならない。静電気防止を謳っている柔軟剤を使い、まずは洗濯した。すると、最初に羽織った時に発生したあの強烈な静電気は消えた。脱ぎ着するときに、多少パチパチいう時もあるけど、痛みはほとんど感じない。
 ユニクロフリースの弱点、あっという間に消えてしまった。

 暖かいし、着心地はいいし、しかも安い。数日、部屋で着てみたけど、欠点がみあたらない。多少毛玉がでるとか、時々静電気が発生するなんてことはあるあるが、部屋着として着て、ゆったりすごしている分には何の問題もない。
 あえて欠点を探すと、街中で同じフリースを着ている人がたくさんいて、表で着るにはなんとなく恥ずかしいことと、運動性能はさすがに登山着メーカーにはかなわないということ。
 自分でユニクロのフリースを買ってみて、「ああこれがユニクロのフリースか」と知った上で街中を歩くと、まあなんと、この人もユニクロあの人もユニクロ、みんなユニクロのフリースだと気づく。そりゃあ、このクオリティでこの値段ならみんな買うよなあ。
 そして運動性。登山を前提とした登山着メーカーのフリースは、さすがによく工夫されている。フリースなのにストレッチがきいていて、しっかり体にフィットするのだ。ユニクロも、ストレッチ性はある。しかし、幅広い体型にあわせられるよう余裕をもったつくりになっているせいか、少しダブつき感があり、そのためにストレッチ性の恩恵をあまり感じられず、そして特に胸回りの生地に余裕がありすぎて、僕の体型だと邪魔に感じることがあった。
 でもまあ、そんなの比べてみなけりゃ感じないようなことなので、最初からユニクロを選んだ人にはどうでもいいことだろう。

 ユニクロのフリース、すげえ。もうね、褒め言葉しか出てこない。これ、ホンマに1290円でええの、ユニクロさん? もうちょっとお高くてもええんちゃいますの? いや、ホンマは安いままでええと思うてますけどね、でも、もうちょっと高くても多分売れまっせ? ユニクロのフリースは、そのまま部屋着兼寝間着として自宅で着用している。
 妻も同じ物を着ている。実は長女もすでにユニクロのフリースを着ている。すると下の子どもが、自分もそれが欲しいと言い始めた。いいよ、今度出かけた時に買ってあげよう。お手頃だもんね。
 子供用のフリース、値段は・・・1500円。あれ、大人用より高い。なんで?