笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

めくりっこ


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 文字を手書きするときには、めくりっこが欠かせない。僕の常備品のひとつである。
 めくりっことは、重ねた紙をつまむ時にひっかかりをよくするために指先につける、あのゴムのことだ。僕は小型のバンドタイプのものを使っている。
 ただし、紙をめくるために使っているのではない。長時間筆記するときに、右手中指に装着し、ペンだこができるのを防ぐのだ。めくりっこをつけているのといないのとでは、一時間以上ペンを握ったときの指の痛みが全然違う。明らかに楽だ。とてもいい。
 こんな使い方は、僕以外にはしないだろうと、長い間思い込んでいた。けど、ふと気になってグーグルさんに尋ねてみると、案外と多くの人が同じことをしているらしいと分かった。そうか、みんな知ってたんだね。だったらもっと早く教えてくれればよかったのに。
 めくりっこをペンだこ対策に使い始めたのは、万年筆を使い始めた時だ。
 万年筆だと楽に大量に文字を書けるので、調子に乗って何時間も書いていたら、右手中指にヘコミができた。このヘコミ、めっちゃ痛い。もっと上手に書く人は、こんなヘコミなんて出来ないのかもしれないが、僕の力の要れ加減が悪いせいだろう、ヘコミは毎日できて、毎日痛み、僕は閉口していた。
 どうにかして指を守る方法はないかと考え、最初は絆創膏を指に巻いてみた。すると、痛みは劇的に軽減された。グッドアイデア。しかし、貧乏性の僕は、流血しているわけでもないのに毎度毎度新しい絆創膏を巻き直すのがもったいなく感じられて嫌だった。そして、何かいいアイデアはないかな・・・と悩んでいた頃に、オケの本番のチラシ挟み込みでめくりっこを使っている人を見て、あれを指にはめればいいんではないかと思いついたのだった。で、試してみたら、ナイスアイデア。指は痛くならないし、何度でも使える。
 めくりっこは案外丈夫で、こんなゴムのバンドなんかすぐに切れるだろうと思っていたのに、数年間毎日使ってもまだ使える。亀裂すら入らない。素晴らしい。

 世の中にアイデア商品数あれど、本当に長く使えてちゃんと役に立つものは稀だ。ひととき話題になって、次の季節には商品棚から姿を消しているライフハックアイテムを、いくつ見送ったことか。しかしめくりっこは商品棚から消えない。別にめくりっこがなくても紙はめくれるのだから、必需品ってわけではないはずなのだけど、ちゃんと便利なものってやっぱり、長く愛されるのだろう。

 めくりっこはペンだこ防止に、とてもいい。まだお試しでない方には、自信をもってこの方法をお勧めする。