笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

緊急事態宣言下、土曜日の三宮


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 入院することになった。
 40年以上生きているが、病院に宿泊するのは初めての経験だ。しかも三泊。ひょっとしたら四泊と医師には言われている。検査入院だからあまりたいしたことはないと看護師には言われたけど、この歳になって初めての経験はやはり緊張する。
 入院には準備がいる。着替えや洗面用品は自分で用意しなければならない。病院のアメニティを利用することもできるが有料だ。ただでさえ通院費用がかさんでいるのに、そんなところに金を使う気はない。全部、自分で仕度することにした。
 ところが、準備しながら気がついた。下着が足りない。首をかしげて記憶をたどった。そういえば一ヶ月ほど前、数枚の下着に穴が開いているのに気づいて捨てたのを思い出した。まだ汗をかく季節ではないとはいえ、同じ下着を病院で二日着る気にはなれず、買ってくることにした。
 学生のころからずっと、ユニクロのトランクスを愛用している。
 ユニクロのトランクスはモデルチェンジしない。二十年前に売っていたのと同じものが今でも手に入る。本当は何か改善されているのかもしれないが僕には分からないし、仮に改善されていなくても不都合は感じない。気に入っているものがいつでも手に入るというのは素晴らしいことだ。これからも同じものを同じように売り続けて欲しい。
 不調のせいで体がふらつくので、車の運転は避けたかった。すると、電車で行ける場所にあるユニクロでなければならない。ウミエのユニクロは緊急自体宣言のために土日は閉店している。目的地は自ずと三宮に絞られた。

 三宮に出て驚いたのは、人の多さだ。なんだこれは。緊急自体宣言が聞いてあきれる人混み。さんちかやデパートは閉店しているようだが、センター街の商店は全部開いている。センター街は買い物客でいっぱいだ。
 テレビなんかで言われているように、若者が多いように感じる。いや、若者が多いというよりは、僕みたいな中年以上の市民が出控えているせいで、若い人が目立つのかもしれない。どことなく、大学の学園祭に似た若々しい熱気さえ感じる。奇妙だ。彼らはセンター街を闊歩してショッピングをし、ゲームセンターに群がり、路上で買い食いを楽しんでいる。大型店舗への休業要請は続いているようだけど、はっきり言って意味を感じない。これでいいのかな? 人が多すぎる。
 僕は、必要な買い物だけ済ませてさっさと人混みを離れた。ここで感染でもしたら、いろんな人に迷惑がかかる。僕が原因でクラスター発生なんてことになったら、僕の治療に当たってくれる医療関係者や同室の患者さんに申し訳がたたない。

 それにしても、このパンデミックはいつまで続くのだろう。マスクが鼻柱にあたる痛みのせいで、そろそろ鼻がもげそうだ。人混みをなくすことが感染拡大を防ぎ、感染が収束すれば大手を振って遊びまわれるのに、みんなパンデミックを終わらせようという気持ちはないのだろうか。これは、センター街をほっつき歩いている人だけではなくて、人流抑制への本気度を感じさせない行政にも言っているのだけど。
 僕が退院するのは、延長された緊急自体宣言の終了期限間近の頃だ。再延長ってことになってないといいなあ。いやマジで。


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