笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

バンドレン・V16 A6M

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 アルトサックスを手に入れたので、リハビリをしている。
 管楽器には同属楽器というものが存在する。フルートであれば、ピッコロ・コンサートフルート(いわゆる、普通のフルート。笛吹きはこれを、「並笛」と呼ぶことがある)・アルトフルート、トロンボーンであればアルト・テナー・テナーバス・バスのように。そしてサックスには、一般的に扱う範囲では、ソプラノ・アルト・テナー・バリトンがある。
 僕は基本、サックスにおいては、テナー吹きだ。ただ、テナーを手に入れる前にはアルトを吹いていた時期があった。その時はヤマハのYAS-62を使っていて、それは売り払ってしまったのだけど、今回新しくヤナギサワのA-WO1(ライト仕様)を手に入れた。そして、以前にアルトを吹いていた頃に使っていたマウスピースだけを手元にのこしていて、それがバンドレンのV16、オープニングは5番のミディアムチェンバー(A5M)。
 これ、何年前のマウスピースだろう? 使っていたのがもう、15年・・・いや、それ以上前になるのか。ひゃー、歳とったなあ。当たり前だが、自分が歳をとった分と同じだけ、マウスピースも古くなる。
 アルトを真剣に吹いていた時期は短い。はっきりとは覚えていないのだけど多分、2年弱といったところか。サックスという楽器のコツがのめたところで、テナーに切り替えてしまったから、そんなもんだろう。
 その2年弱のうち、このマウスピースを使っていた期間がどれくらいかは、これまた全然覚えてないんだけど、YAS-62に標準装備の4Cはさっさとクビにしたはずだから、それなりに使い込んだんじゃないかな。渋谷のイケベ楽器で買ったことだけはよく覚えている。試奏した時に、アルトにおけるジャズ・サックスの標準とされるメイヤーよりもずっとしっくりきたのに驚いたからだ。メイヤーを土台にしたレプリカのひとつのはずなのだけど、素材のせいか、(当時の)現行メイヤーよりもパリッとした鳴り方をする。
 この僕のV16、結構気に入っているのだけど、ティップに傷がつきはじめていて、そろそろ交換時期だよなー、なんて思っていた。そこで、ヤナギサワのアルトにある程度慣れたところで、新調することを決めた。

 以前に、スモールチェンバーにしようかな、なんて書いたことがあったけど、機材を追加するのではなく消耗品の交換なので、今回は同じV16で、かつミディアムチェンバーのままでいく。
 ただ、ベンドのきき幅が狭い感じがするので、オープニングはひろげようかな、と考えた。ただ、僕の今の技術で、今のマッピ以外のセッティングをそのままで、オープニングを広げて吹けるのか、という点には不安を覚えたので、試奏して決めることにする。

 バンドレンのマウスピースなんかどこでも売ってるでしょ、とは思ったのだけど、念のため、大阪の大手楽器店に確認の電話をした。すると、「ご用意がありません」「注文になります」という返事ばかり。なんで!? 天下のバンドレンのマウスピースだぜ、どうして在庫してない? 
 大阪の大店に行けばバンドレンぐらい大量に在庫してあって、同じモデル・同じオープニングの個体複数の中から選定ができるはずと思っていたのだけど、僕の目論見はもろくも崩れた。東京では、それができたぞ? もうちょっと頑張ろうぜ、関西。

 どうせ注文になるなら、近所の楽器屋さんで頼んでも同じ事なので、一番信用しているお店で選定をさせてほしいとお願いした。すると、同一オープニングを複数そろえるのは無理だが、別モデルをひとつずつ用意するのは可能だとのこと。ありがとう、それで十分です、ヨロシクお願いします。
 V16のA5MとA6Mをひとつずつ用意してもらった。
 まず、ウォームアップのために自分のA5Mを少し吹いて楽器と体を暖めてから、新品のA5Mと交換する。全然違う! 新品の鳴りは、圧倒的だ。そして、自分のマウスピースがこんなにも消耗していたのかと驚く。テナーに新しいマウスピースを卸した時にも、新しいマウスピースはよく鳴ると感じたけど、あの時の比ではない。やっぱり、マウスピースって消耗品なんだね。肝に銘じておきます。
 とはいえ、同一モデル同一オープニングなので、基本的な性能に差はない。やはり、ベンド幅には不満が残るな。せめて半音、楽に下げられるといいのだが。
 そこで、次はA6Mに交換。同じリードでちゃんと吹けるかどうか不安だったが、問題なく吹けた。そして、十分とはいえないまでもA5Mよりはベンドがきき、音量があがった。これもよく鳴るね。確か、ヴィンセント・ハーリングがこれのスモールチェンバーのプロトタイプを吹いてるんだっけ。確かに雰囲気は近いかも。あとは、僕のトレーニング次第だな。

 よし、A6Mにしよう。
 吹奏感が重くなりすぎるようならA5Mにするつもりだったが、ほとんど差がなかったので、広めのオープニングをとることにした。ベンドがききやすいのもいい。その分、僕がしっかりコントロールしないといけないわけだけど、初心者だった頃よりは上手くできるはず。
 さて、これとは別にハイバッフルのマウスピースがひとつ欲しい。大阪のお店に電話して回った時に、クラウド・レイキーやバンドレンのJumbo Javaの在庫もあわせて尋ねたが、これも用意がないと首を振られてしまったので、選ぶ方法を何か考えなければ。すぐに手に入れなくてもよいので、これはじっくり考えようか。今度、マウスピース探しの旅をしに、東京へ出かけてもいいかもしれないな。