笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

「How High the Moon」⇔「Ornithology」

f:id:sekimogura:20240311143002j:image

 

 「Confirmation」と平行して、いくつかの曲を覚えようとしている。「How High the Moon」と「Ornithology」もそれぞれに、そのうちのひとつだ。
 ジャズスタンダードではよくあることだがこの2曲も、有名曲のコード進行を借りて別のメロディを載せ替えてテーマにするパターンだ。多分、「How High the Moon」がオリジナルで、「Ornithology」がパーカーの載せ替え。「How High the Moon」のコードに別のテーマが載る曲は他にもあるようだけど、一番よく聴かれるのはやっぱり、「Ornithology」だろうなあ。「How High the Moon」のアドリブで、「Ornithology」のテーマを一部引用するなんてこともよくあるし。
 楽節の途中で長調短調とチェンジし、その短調になったコードをⅡm7ととらえてさらに転調、というのが基本パターン。曲の流れをパターンでとらえると覚える時に便利だ。まだ十分には慣れていないけれど、コードを逐一覚えるよりは早くて楽だろう。歌伴なんかで曲のキーをシフトする時も、流れで覚えておけばすぐに対応できるはず。
 ところで、黒本ではこのふたつの曲が同じキーで掲載されているのだけど、曲の中盤に出てくるEbのコードが、一方は7thで、もう一方がmaj7になっている。なんで違うんだろう。多分、曲のダイアトニックに即した書き方としてはmaj7が正解だと思うのだが、7thの方がリフものらしい処理ができるっている配慮なのかなあ。あるいは、マイナーペンタを要求するⅣ7だろうか。パーカーはこの位置にこのコードをもってくる、このパターンが好きっぽいよね。知らんけど。

 昨今は日本でも著作権に関するルールの厳密化が進んでいるが、パーカーが活躍してた頃のアメリカって、どうだったんだろう。こんなにあからさまに、コード進行をパクって問題なかったのだろうか。欧米はそこのあたりの意識が、伝統的に高そうなイメージがある。テーマを含めてあからさまな剽窃をするのはさすがに問題だったろうとは思うのだけど、コードだけならお目こぼししてもらえたのかな。「I Got Rhythm」のコード進行なんて、リズム・チェンジ(Rhythm Change)と異名をつけられて広く使われるほど、パクられまくっている。それだけ秀逸なコード進行だってことではあるが、著作権ということに関して言えばグレーだよね。ガーシュインは文句言わなかったんだろうか。あるいは、パクった曲がヒットして「原曲は何だ?」ってところからオリジナルの人気に火がつけば儲けにつながる、という判断から黙認だったのかな。これも、知らん。

 とにかく、21世紀の演者としては、ひとつコード進行を覚えれば、いくつかの曲に流用できるので、とってもお得。頑張って練習しましょう。