笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

「やれっ」と言われて出来ない「Confirmation」。

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 チャーリー・パーカーの代表曲のひとつ、「Confirmation」をさらっている。
 横浜でジャズスクールに通っていた頃、師匠に「ジャズは基本、暗譜だ」と言われた。暗譜・・・苦手です。でも、その教室で発表会に出ろと言われた時には、ちゃんと暗譜したような記憶がある。師匠のアレンジしたサックスアンサンブルの時も、「Take the "A" Train」をコンボでやった時も、当時の写真を見ると譜面台をたてていないことがわかり、暗譜したのは多分間違いないだろう。
 なので、ジャズの曲をさらう時には、覚えるまでやるのが基本と心得ている。もちろん、テーマだけではなく、コードも。
 しかし「Confirmation」をまるっと覚えるとなると、なかなか大変だ。歌モノのスタンダードに比べると音数が多いし、コードも複雑。これ、皆さんはどうやって覚えているんですか? 何かコツってあるんですか? 「こういう風にやってるよ」っていうやり方があったら教えて下さい。
 僕はというと、実に原始的なのだけど、とにかく何回も何回も、繰り返し繰り返し、吹きまくる、という方法で覚えようとしている。iReal Proのリピートを10回ぐらいに設定して、音を鳴らし続け、指と耳が慣れてしまうまで続けるのだ。10回前後に設定している理由は、それが連続で吹ける限界だから。それ以上に設定すると、フルートでは首が痛くなってくるし、サックスではアンブシュアに限界がきてしまう。

 で、そのセットを休憩をはさみながら何セットもやっていると、四十路の中年オヤジの脳ミソでもだんだん覚えてくるから不思議である。そして、ただ記憶として定着するだけではくて、「このBb7はマイナーペンタだな」とか「ここのC7はハーモニックマイナーが意識されている」みたいに理解が進む。そういうことが分かってくると、当然、アドリブがやりやすくなるわけで、ああなるほど、だから師匠は暗譜しろと宣うたわけか、と僕は肯く。

 しかし、そうやってコードのフローが見えてきてもやはり、「Confirmation」は難しい。
 動画サイトで誰かが「"やれっ"と言われて出来ない"Confirmation"」と替え歌しているのを拝聴したことがあるけど、うーん、本当にそうだと思う。「Confirmation」の面白さって、あのスピードで、あのバップ的なコード割りに対してある程度愚直に振る舞う難しさにこそあると思っていて、やっぱりそれって、簡単じゃない。僕もとりあえず、まずはコードごとのダイアトニックを意識て演奏しようとしているけれど、ノーミスでプレイできるというレベルにはまだ達しない。強引にF(BメロはBb)の重力圏でまるっととらえるという方法もあるけど・・・それじゃつまらんもんね。まずはコードに沿って演奏できるようになろう。そして、アウトするにしても強引にペンタでぶち抜くにしても、それはサイドストーリーなのであって、本筋ではない。「Confirmation」を「Confirmation」として、「Confirmation」らしく味わうためには、あのバップなコードを攻略してこそ、だと思う。

 ところで、「Confirmation」って「確認」っていう意味らしい。そういや、コンビニの端末で振り込みやチャージをする時に、「確認〈Confirm〉」って出てくるなあ。パーカーはこの曲で何を確認していたんだろう。振込手数料ではないと思うのだけど。