笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

管楽器の演奏における、薬指・小指の問題

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    トランペットの練習を続けている。
 バックの5Cを右にずらしたアンブシュアで練習していたのだけど、高音で高い圧力をかけた時に、どうしてもマウスピースの外に出ている唇が圧に耐えきれず、「ぷ、ぷ、ぷ」と息漏れが生じる。そこでもう一度検討し直して、アパチュアの位置をセンターにまた戻し、マウスピースはヤマハの14C4にした。そして、楽器自体の角度を微調節し、「ここならトレーニング次第で吹けるようになる気がする」というポジションを見つけた。
 トランペットいう楽器はつくづく、神経質だなあと思う。ベル先が数ミリそっぽを向くだけで、唇が反応しなくなる。音がキレイに切り替わらない。今は、ゆっくりとスケールをさらいながら、現状のアンブシュアでコントロールできる角度を体に覚え込ませているところだ。

 音が素早くキレイに切り替わらない原因は、アンブシュアだけではない。
 トランペットのピストンに十分慣れていない僕は、操作が遅い。そのことについては以前も書いたことがあったように思うが、思っていた以上に難しいな。なかなか上達しない。僕はユーフォニアムも一応吹けて、ユーフォとトランペットのピストンは基本、全く同じなのだけど、たったひとつ違うのは、向きだ。ユーフォニウムのピストンは体に対してほぼ水平に並んでいるのに対し、トランペットのピストンは垂直方向である。これがね、案外、影響が大きいと僕は感じる。特に薬指で操作する3番ピストンが難しい。ユーフォニウムは吹き込み管の角度が上手に調節してあって、自然に構えれば指が自然な位置に納まるようになっているのだけど、トランペットは無慈悲なまでに、垂直だ。そのせいで、3番ピストンにおく薬指のおさまりが悪い。
 僕の手の形のせいもあるだろう。僕の右手の薬指は、少し内側に傾いていて、普通に握り混んでいくと中指側に寄っていく。多分、似たような苦労をしているトランペット奏者は多いんじゃないかな。なぜかというと、いろんなトランペッターの写真を見た時に、薬指の置き方が奏者によって全然違うからだ。面白いといえば面白いが、難しい問題なのだろう。

 奏者としての手の形を問題にする時、薬指と小指にまつわる問題はよく話題になる。
 例えば、僕の場合だと、フルート。さっき書いた通り、右手薬指が少し内側に寄っていくせいで、リングキィの演奏には気を遣う。とは言っても、リングキィの楽器をもう30年近く吹いているので、もうあまり問題にはならないのだけど。しかし、何かの事情で練習が十分にできなくて、広めのブランクがあくと、ミスをすることがある。あとは、トリルだな。D⇔EやG(Gis)⇔Aの薬指トリルは、定期的に練習しておかないと指が動かなくなる。特にGis⇔Aが僕は苦手だ。左手小指をGisキィにおいたままっていうのが難しい。同じ理由で第3オクターブのDis⇔Eも嫌い。もしそのトリルの指示に出会ったら、演奏会直前には、必死でトレーニングをしている。
 小指の話をするなら、サックスのテーブルキィのことを以前話題にした。この左小指のキィは、技巧性に加えて、パワーもある程度必要になる。ベルサイドにある、あの巨大なキィを、一番弱い指で操作しなければならないからだ。一時期、集中的にトレーニングしたので、以前よりは上手く操作できるようになっているけど、やっぱり重いよなあ、テーブルキィ。

 とにかくこの、薬指と小指は、楽器の特性に応じてよく鍛錬する必要があるよね。もともと力が弱く、動作を分離しにくい指なので、トレーニングは大変だ。しかし、ここの問題をクリアしなければ、上達はない。トランペットのピストンも腱鞘炎にならないよう配慮しながら、じっくり鍛えるとしよう。
 まあ練習するしかないわけだが、トランペットのピストンって、もうちょっと押さえやすい配置にはできないのかな? 例えばドイツ系のピッコロの右手のキィに貼り付けてある指置きの板の並びは、やや弧を描く形になっている。あれと同じように、3番管を奏者の右手側に少しオフセットしたら、ちょっと吹きやすくなると思うんだけどなあ。そんなことしちゃダメ?