笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

須磨、やっと行けたよ。


f:id:sekimogura:20230926233532j:image

 

 慢性疲労症候群のせいで、まったく活動的に振る舞えない僕なのに、どういうわけか、暇はない。毎日、何かしらの用事がある。少し前に公園で知り合って話すようになったイラン人パパの口癖が「ビンボー、暇なし」なのだけど、まあ確かに僕はビンボーだから、そういうものなんだろう。
 それでも、フッと暑気が遠のいた九月の後半に、ちょっとした暇ができた。こんなタイミングは、そうそうない。先だっての記事で、暇ができたら、須磨に行くか滝を見るかしたいと書いたが、さてどっちにしようかと考え、須磨を選んだ。

 最後に須磨を散歩しにきたのは、確か年明けだったかな? 自信がない。とにかく、それくらい来てないってことだ。砂浜の手前に遊歩道が整備されたのはもう知っていたけど、そこに自動運転の電動バスが走るようになっていて、びっくり。気分は浦島太郎。スマスイが閉館したところに、新しい施設の工事が進んでいるし、須磨の風景はどんどん変わっている。どちらかと言えば、僕の好きじゃない方向性の変わり方だ。なんだか騒がしくなりそうで、うーん、なんだかなあ。
 別に僕の土地ではないし、どう変わろうが須磨の勝手なのだけど、近頃の神戸は静かな場所が少なくなってきているような気がする。なんかね・・・賑やかなのも嫌いじゃないけど、さ。
 神戸は阪神淡路大震災のために甚大な被害をこうむった。で、僕が自分で確かめたわけじゃないから本当かどうか分からないのだが、その震災復興のために神戸は、莫大な借金をかかえているらしい。そして行政は、その借金を返済するのに必死なのだと、ええと、誰から聞いたんだっけなあ、忘れたけど、そういう噂を聞いたことが僕はある。もしそれが本当だとしたら、行政としては、少しでも市の財政に貢献できそうなリソースは活用していきたいだろう。それは、理解できる。しかし、いち住民としては、ちょっとホッとできるような場所を残しておいてほしいなあ。特に砂浜なんて、港街・神戸には須磨以外に残っていないのだし、特別にキレイにして観光客なんか呼ばなくていいから、静かなままそっとしておいてほしかった。

 静かな砂浜、という話題から僕が思い出すのは、鎌倉の七里ヶ浜だろうか。
 横浜に長く住んだ僕だけど、その頃、港ではなくて海が見たいと思った時には、バイクを飛ばして七里ヶ浜によく行ったものだ。高速を使わなくても、片道1時間もかからずに行けたから、月に一度は波の音を聴きに行っていたんじゃないかな。七里ヶ浜に行って、別に何をするわけでもない。30分くらい砂浜を散歩して、缶コーヒー飲んで、帰るだけ。ただ、波の音を聴きながら、ブーツで砂を踏む感触を楽しむのが好きだった。そして、たったそれだけのことで、仕事の疲れが消え、気持ちがふわっと軽くなった。
 昔を思って、あの頃は良かった、みたいなことを考えるのは、好きじゃない。けど近頃、横浜での生活をよく思い出す。トロンボーンを吹いているせいかもしれないな。横浜は、僕が金管楽器の演奏を習い覚えた街だから。
 横浜、ずいぶん行ってないなあ。このブログを書き始めた頃に行ったのが最後だろうか。チャンスさえあれば、そろそろまた行きたい。横浜もずいぶん変わっただろうな。横浜港にはハンマーヘッドとかいう商業施設もできたらしいし。まあ、僕は新しい場所にはあまり興味がない。行きたいのは、大桟橋と、七里ヶ浜と、あとは野毛あたりだな。あまり変わっていないといいのだけど。

 ぶつぶつと、文句ばかりになってしまった。
 でも、久しぶりの須磨は気持ちが良かった。涼しい秋風がふいていたし、ほどほどに人もいて、寂しすぎず、賑やかすぎもしなかった。僕は、駅前のコンビニでいつものようにノンアルのビールをもとめ、海を眺めながら飲んだ。今度ここに来るのはいつになるだろう。年末かなあ。たいして活動してないのに、なぜかまとまった暇はない。ビンボー、暇なし。金持ちになったら、暇になるだろうか。僕も少しは、金持ちになる努力をした方がいいのかもしれないな。