笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

トランペットのマウスピース

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 YTR-1335に付属のマウスピースは、11B4だった。カップ小さめ、ややシャロウ。多分、息の弱い初心者でもある程度高音まで出せるように、という配慮なのだと思う。しかし、このマウスピースは僕には小さすぎる。鳴りが浅いし、カップが小さすぎて吹きにくい。
 買ってすぐの段階でもうそう感じていたので、楽器屋さんに「もうちょっとダークで太い鳴りのする、大きめのカップのマウスピースをください」と言ったら、何だこいつ? って顔された。そりゃそうだよね、当時のヤマハの最廉価トランペットだったYTR-1335を買うラッパ初心者の、吐く台詞じゃないもん。
 でも僕はもうすでにトロンボーン経験者だったし、当時出入りしていたバンドの備品のコルネットを吹いたこともあったから、どういうマウスピースならもっと納得のいくトレーニングができるかってことくらいは理解できた。僕の場合、もう息は出来上がっていたので、アンブシュアさえ仕上げればちゃんと吹ける自信があったわけだ。まあ、トランペット上達のハードルは予想外に高くて、その自信は後に崩れ去るのだけど。

 で、その時楽器屋さんに出してもらったのが、バックの5C。
 買った当初はなかなか上達しなくて苦しんだけど、今またトレーニングを始めてみて、とてもいいマウスピースだと感じる。適度なカップサイズと、ちょうどいいリム幅。音量も出る。出過ぎるくらいだ。僕のYTR-1335だと、ちょっと鳴りが破綻してしまうくらい。付属のヤマハ11B4は、こんなに鳴らない。鳴らせば鳴るのかもしれないが、今のところ、僕にその技量はない。
 管楽器はどれもそうだが、マウスピースというやつは本当に奥深い。カップがコンマ数ミリ深かったり浅かったりするだけで、全然吹き心地が違う。
 トランペットのマウスピースについては、特にそう思う。だから、トランペットを吹くなら絶対に、マウスピースはちゃんと選ぶべきだ。プレイヤーとの相性が、他の楽器よりもずっとシビアに感じる。
 中学校に出入りして、トランペットの生徒の様子も見ているけど、マウスピースを見せてもらうと「なんでこんなマッピ使ってる?」と首をかしげたくなるような、特大のマッピや極浅極小のマッピを使っていることがある。なんでそんなマッピが学校に備品として置いてあるのか理解に苦しむが、あれ、何とかした方がいいよ。ていうか、マッピはやっぱり、自分のやつを買った方がいいって。

 最初は、メーカーが標準で用意しているマウスピースを使ってトレーニングし、ある程度吹けるようになったら、自分にあうマウスピースを選んで手に入れる。中学生なら、一年生のお正月のお年玉で買うのがいいんじゃない? 時期的にもそれがベストじゃないかな。半年も吹いていれば、そのマウスピースが自分にあっているかどうか、自分の目指す音色を出せるかどうか、判断できるようになっているだろう。

 ちなみに僕は、メインがフルートなので、金管のマウスピースにはとにかく使いやすさを求める。その結果選んだのが、トロンボーンの場合はストークで、トランペットにはバック。あまり細かい神経を使わなくても、息を入れれば素直に反応してくれるマウスピースが好きだ。いや、好きっていうか、そうじゃないともうダメなんだよ。僕が金管楽器のトレーニングにさける時間は、あまり多くない。音色の変化のつけやすさとか、ダイナミクスレンジの広さとか、マウスピースの性能には色々な要素があるけれど、とにかく吹いたら何も考えなくてもその瞬間に鳴ってくれなければ困る。
 まあでも、トランペットはまだ初心者とも言えないようなビギナーだからね、これからまた別のマウスピースを試す機会もあるかもしれない。確か、ストークにはトランペットもあったよね? チャンスがあれば吹いてみたいな。

 マウスピースって、種類がとても多いので、どれを選ぶべきなのか迷うけど、いいじゃん、そういのも楽しめばさ。楽器屋さんには嫌な顔されるかもしれないけど、いいんだよ、本当に気に入ったやつをちゃんと選ぶといい。僕はトロンボーンのマウスピースを選ぶ時、10本くらい試したかなあ。でも、みんなこれくらい試すでしょ? なんなら、お店にあるやつ全部出してもらうくらいのつもりで選ぶでしょ? そういうもんなんだって。
 さて、僕もトランペットのマウスピースを買う時に備えて、貯金しようかな。一日10円ずつ貯めれば、2年ぐらいで買えるはず。いいね、何だか中学生に戻った気分。今の中学生が、お小遣いいくらもらってるか知らんけど。
 さーて、それまでは、バックを使い倒してトランペットの練習しようっと。頑張ります。