笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

夏は金管楽器がいい。



 夏になると、金管楽器が吹きたくなる。木管じゃなくて。
 なんでだろう? 理由は自分でもよくわからない。わからないのだけど、フルート吹きのくせに、なぜか夏になると、トロンボーンだのユーフォニウムが吹きたくなる。
 まあ、そういう選択肢がある人自体、あまり多くないだろうから、「知るか!」と言われても仕方がないような話題ではあるのだけど、暑くなってくると、そうめんや麦茶が恋しくなるのと同じように、僕は金管楽器が吹きたくなる。

 あの、マウスピースのひんやりした感じがいいのかもしれない。特にトロンボーンのマッピはデカいので、熱容量が大きく、そう簡単には暖まらず、ひんやり感が長続きする。チューバはもっとひんやりなんだろうなあ、いいなあ。チューバはマウスピースだけ持っていて、時々、トレーニングのためにぶーぶーやっている。本体も欲しいけど、さすがに手が出ない。
 最近はずっとトランペットのトレーニングを続けている。トランペットもいい。ピリッと高音をロングトーンすると、空気が冴え返る。フルートなんかも悪くないけど、放った音が入道雲に向かって吸い込まれていく心地よさは、やはり金管ならでは。ベルで音を投げる感じがいいのかなあ? そうすると、サックスでもよさそうな感じがするが、なんか違うんだよね。どうしてだろう。分からない。

 久しぶりに、金属のトロンボーンも吹きたくなって、お邪魔している中学校で借りた。ヤマハのF管つきの、ナロースライド細管カスタム。品番は腐蝕して読めない。YSL-8510もナロースライドだったので、この抵抗感が懐かしい。やっぱトロンボーンも欲しいな。YSL-8510はボアが12.90mmで、現行ラインナップの中でボアサイズが同じなのは、YSL-891Z。テナーなので、F管がない。個人的に楽しむだけなら、F管はなくていいと思っている。しかし、中学生を教えるのに使うのなら、F管あった方がいいよね。6posi使わないで済むし。まあ、それはいいや。夏はやっぱりトロンボーン。スライドクリームの匂いも懐かしい。あの匂い、なぜか喉に残る。それも、何となく、夏らしい。

 僕が、吹奏楽で使う金管楽器の中で唯一、きちんと取り組んだことのないのが、ホルン。もちろん、吹いたことはあるし、音ぐらい出せるけど、ちゃんと練習したことはない。ホルンもいいよね。くるっと巻いた姿が太陽のよう。ベルもでかいし。ホルンも中々に、夏感があふれている。
 やっぱり、夏は金管だ。