笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

初めて「ぷりんと楽譜」利用しました。

f:id:sekimogura:20230210073307j:image

 

 去年の年末、訳あってサックスを数年ぶりにマジメに吹いた。一週間ぐらいのことだったが、とにかく突然に間に合わせる必要があって、めちゃくちゃ練習した。
 それにしても、サックスというのは音がでかい楽器だ。夜中に街中の集合住宅で吹けるものではない。そんなことをしたらたちまち、エレベーターに「夜中にサックスを吹かないようにしてください」なんて張り紙をされてしまう。夜中に・・・多分、日中でもダメだな。うるさすぎる。
 しかし、時間のある限り練習したかったので、子どもが寝静まった後に、せめて譜面だけでも頭にたたきこもうと、EWIで練習していた。EWIは、サックスとは少し運指が違うのだけど、電子楽器の強みで、ヘッドホンでサイレント練習できる。息が余って「ぷはっ、ぷはっ」と僕が息を捨てる音だけはサイレントにできないが、それはさすがに、他人に迷惑をかけるほどの音量ではない。EWIがあってよかった。

 サックスを吹く用事はもう終わったのだけど、子どもが寝た後にEWIを吹く習慣だけは残って、最近はジャズスタンダードなんか吹いて楽しんでいる。半月ぐらいはそれで面白がっていたのだけど、ジャズスタンダードって、僕の知っている音が生楽器だったりボーカルだったりするので、電子楽器だとなんだか物足りない。
 何か、電子楽器で吹いて楽しめる曲はないかなあと考えていて、そうだYOASOBIなんてどうかな、と思いついた。吹奏楽部で教えていると、文化祭だとか新入生歓迎会だとかではポップスを演奏することが多いわけだが、そのレパートリーとしてYOASOBIはすでに定番の感がある。吹奏楽意外でも、娘の小学校での体育発表会のダンスの曲が「夜に駆ける」だったし。
 じゃあ、その「夜に駆ける」を吹いてみよう、と思って、以前吹奏楽で教えた時にもらった「夜に駆ける」のスコアを出してきて吹こうとしたのだが、何せ吹奏楽のスコアなので、メロディがあっちこっちのパートへ移っていくし、おまけに楽器ごとにキィが違う。EWIには調をシフトする機能があるけど、まさか「夜に駆ける」を吹いている途中で切り替えの操作ができるわけもなく、こりゃめんどくせえ、とうなだれた。
 じゃあin Cになおしてメロディだけの楽譜を作ろうかとも考えたが、それなりにめんどくさい。どうしようかな、と腕組みしていると、グーグルで検索をしたときに広告で出てくる「ぷりんと楽譜」の存在を思い出した。

 ぷりんと楽譜ヤマハの楽譜ダウンロードサービスだ。そういや、三宮のヤマハの楽譜売り場にも楽譜のプリントコーナーがあったな。どうやって使うんだろう? 調べてみると、別にヤマハの店舗までいかなくても、pdfでダウンロードしたりコンビニでプリントアウトしたりできるらしい。へえ、便利じゃん。会員登録してサブスクにすると、定額で閲覧し放題になるらしいけど、単品でダウンロードするだけなら会員登録もいらないらしい。
 印刷できる楽譜にも、いろいろなバリエーションがある。バンドスコアもあればピアノアレンジもあり、メロディにコードだけついたミュージックシート風のものもある。ミュージックシート風のメロディ譜なら値段は200円前後。お手頃だ。

 まずはお試しにと、メロディ譜の「夜に駆ける」をセブンイレブンで買ってみることにした。
 手続きは実に簡単で、スマホで検索した楽譜に付属のコードを、複合プリンタに入力してプリントするだけ。料金は、複合プリンタにnanacoかコインで支払う。紙幣が使えないので、小銭がない場合はレジで両替してもらわなければならないが、それ以外に不便はない。三分ほどの操作で、プリンタから楽譜が出力される。
 僕の購入したメロディ譜は、メロディにコードが添えられたもの。料金は二百円ちょっと。とりあえず、EWIでメロディを吹くだけならこれで何の問題もないし、必要なら伴奏アプリにコードを入力すれば、簡易な伴奏をつけることもできる。僕は伴奏アプリをもっていないけど、今時いくらでもあるでしょ? なんなら、もう伴奏データがあるんじゃない?
 メロディ譜の調子はEb。オフィシャルの音源と同じキーだ。ということは、オフィシャルの音源と一緒に演奏してもすぐに音があう形になっている。従って、伴奏アプリすらいらないわけだ。間奏部分はちゃんと休符になっているばかりか、間奏のメロディすらちゃんと影譜で書いてあって、なんならその部分も演奏できる。なんだもう、完璧じゃん。勉強のために自分で採譜したいっていうんじゃなければもう、これを買わない理由がない。だって、300円しないんだよ? 牛丼より安い。

 その夜、さっそくEWIで吹いてみる。あはは、楽しい! EWIにはやっぱり、こういう雰囲気の曲があうよね。割と難しいな、この曲。幾田りらさん、よく歌ってるよなあ。管楽器で吹いても難しい譜割の曲をボーカルでやるのは大変だと思う。感心しました、拍手。
 「夜に駆ける」の指定BPMは130と、そう早くないのだけど、16分音符が連続するところはダブルタンギングかシングルタンギングかで迷うところ。EWIクラリネットやサックスと同じ、咥える楽器なので、ダブルタンギングがちょっと難しい。できなくはないけど・・・やっぱりハッキリしないな。かといってスラーで吹くとパキパキ感に欠ける。BPMを落としたくはないが、シングルでは追いつかない。じゃあ、クラシック風にタラタタと吹くか? そんなことを考えるのも楽しみのうち。しばらく遊べそうだ。

 近頃、EWIタンギングのたびに「パツッ、パツッ」と異音を発生させるようになってきた。吹き始めは大丈夫なのだけど、しばらく吹いているうちに異音が出始める。故障かなあ? 買って10年近く経つから、何かあってもおかしくないとは思うけど、とりあえず音は出ているし、EWIで本番があるって訳でもないので、修理に出すかどうか迷っている。