笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

テーブルキィのトレーニング。

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 サックスを練習するにあたって、曲をさらうのと同時に、テーブルキィの練習をやりこんだ。
 以前、教室に通っていた時に、バークリーで学んだという先生が「バークリーに行って、インプロをすぐに教えてくれるのかと思ったら、まずテーブルキィの練習をやりこむように言われた」と仰っていて、そうかインプロをやるにはまずテーブルキィの練習なのかと思った(嘘)。そういう訳で、別にインプロの勉強をしている訳ではなくて、ただ久しぶりにサックスもマジメに練習しようと考えただけなのだけど、まずテーブルキィからトレーニングすることにした。

 いやしかしね、キツいわ。
 この練習にはふたつの課題がある。ひとつは、低音域をちゃんと鳴らす息とアンブシュアのトレーニングという課題、もうひとつは、小指でテーブルキィを確実に操作する指のトレーニングという課題。
 サックスという楽器は、低音の発音がとても難しい。特に弱音での発音が難しく、息の量と圧力をコントロールしつつ、リラックスしたアンブシュアで演奏しなければならない。まあね・・・いきなりは出ないですよ、低音。ブフォッ! バフッ! ビィッ! プシュー・・・と意味不明な音を発しつつ、発音のツボをさぐっていく。時間をかけて練習しているうちに、だんだん当たるようにり、ロングトーンできる時間もながくなってくる。そして、発音できるようになって満足するのではなく、音をコントロールできるように息とアンブシュアを鍛える。
 まずはひとつの音でロングトーン。低音ミ(テナーの場合、実音D)からひとつずつ下がっていって最低音シb(実音Ab)までを、行ったり来たり。ミの音なら、ほぼ確実に発音できるし、コントロールもそこまで難しくもないので、この音と音色や強さがそろうように気をつけつつ、トレーニングを重ねる。最初はとにかく、きちんと発音して、きちんとロングトーン。どの強さで行うかにはこだわらない。で、うまくいくようになってきたら、fからpまでの強さで同じ事をできるようにする。あーしんど。

 そして、テーブルキィを操作するというメカニカルなトレーニングは、スケールで。
 最初はクロマティック(半音階)でシbからミまでを、ある程度の速度で行ったり来たり。ここでもやはりミまでの範囲とするのは、ついでに右手の小指と薬指を鍛えるため。最初はゆっくりやって、徐々にスピードをあげていく。このとき、テンポが揺れないことが大事。スピードを保って演奏できなければ、意味がない。
 で、クロマティックの次はスケールで。フルートで言うと、タファネル・ゴーベールみたいな課題をやる。本当は全音域やればいいのだろうけど、とりあえずテーブルキィの関係する調だけ。これも、最初はゆっくり、それからスピードをあげる、ただしテンポを守って。
 あー・・・しんど。しんどいわ。
 こういうトレーニングって、時間をかけることと、精度高く取り組むことが大事。モチベーションを維持するのが難しいトレーニングだけど、やれば必ず上達する。いやーでも、しんどいな。ひたすら、しんどい。
 この練習、体も楽器(リード)も消耗する。本番用のいいリードは使わない方がいいね。ヘタリかけの寿命リードでやるのがいいと思う。その方が、体にも財布にも負荷が少ない。最近、リード高いし。

 でもね、とても疲れる練習なんだけど、練習で疲れ切った後にちょっと甘いもの食べたりすると、めっちゃ美味い。僕は大して甘いもの好きじゃないけど、この練習の後にコーラ飲んだらめっちゃ美味かった。甘党の人なら、この快感はモチベーションになると思う。疲れたら甘味、疲れたらコーラ。

 サックスに限らず、管楽器のトレーニングにおいて、低音域の練習は重要だ。やっておいて損はない。僕は一時期、フルートの低音域を集中的に練習していた頃があって、やっぱりそのおかげで上達したと思う。低音は、すべての基礎だ。もちろん中高音域も大事。でも、まず低音域がきちんと鳴らないと、芯のある中音域やブリリアントな高音域の演奏はできない。

 そういうわけで、しばらくテーブルキィの練習に励もうと考えている。コーラ、たくさん買っておこうっと。