笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

明石・アワーズホール

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 最近知り合った人に、吹奏楽のコンサートに誘われた。明石のアワーズホールというところでやるという。行ったことのないホールだな。どんなところだろう。たまたま用事もない日だったので、聴きに行くことにした。
 明石には、春先に何度か散歩しにきた。その時に、市役所周辺も歩いたので、場所は知っている。明石駅を降りて南の方へ下り、海岸線に沿って東へ進んだ。

 アワーズホール、規模としては1000席前後だろうか。神戸文化ホールの、大と中の間くらいの大きさに見える。形状は、横に広い、ほぼボックス型に近い扇形と言っていいだろう。調べていないので間違っているかもしれないが、戦後昭和に建設されたホールに多いタイプだ。神戸のマリーやうはらを使い慣れている僕からすると、ちょっと古風な印象。最近はこういうタイプのホールを作らなくなったね。どうしてだろう。この手のホールで新しいのは、僕が知っている範囲では川崎のミューザぐらいだろうか。ミューザは横に広い扇形だったと記憶している。
 このタイプのホール、昔はあまり好きじゃなかったのだけど、今はそう嫌いでもない。ぼわんと大鳴りするせいでクリアさには欠ける反面、ほどよくブレンドが効いて聴き映えがする。もちろん形状だけで音響が決まるわけじゃないけど、傾向として、そのように感じる。今回聴きに来た、中程度の人数のバンドが演奏するにはちょうどいい。
 アワーズホール、駅から遠いという一点をのぞいては、悪くないんじゃないかな。奥行きが深すぎないのでタイムラグもあまりないし、実際にバンドの演奏を聴いても、バランスよく鳴っていた。ここを根城にしているバンドのようなので、ホールの音響のことをよく知っているっていうのもあるだろう。いい音をしていた。

 しかしまあ、コンサートホールはさすがだね。ここのところ、中学生のバンドを体育館や狭い練習室で教えてばかりいたから、ちゃんと音響を計算されたホールの響きが新鮮に感じられた。体育館の響きっていうのは独特で、昔を思い出してノスタルジックな気分になれるのはいいのだけど、音響という点においてはあまりいいものではない。響き過ぎてモコモコするし、通る音とそうでない音の差が激しくてバランスがとれないし、緞帳近くの楽器は音を吸われるし・・・。もっとも、音響を優先して設計してる訳じゃないから、別にいいんだけどさ。

 中学生にも、こういうちゃんとしたホールで演奏させてあげたいなあ。コンクールに出場しているバンドであれば、年に一度は大きなホールで演奏する機会があるけれど、コンクールに出てこないような弱小バンドだと、こういう響きを知らずにバンド生活を終えるってことの方が多いだろう。それは、とてももったいないことであるように僕は思う。


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