笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

万年筆のコンバータ

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 万年筆の話題がつづくのは、近頃どうも調子がよくないせい。先月の診察で、腹部の緊張をとるために薬の組み合わせを換えたのだけど、そのときに辞めた薬がどうやら僕の症状に効果を発揮していたらしく、中断していた期間はかなりつらかった。先だっての診察でもとの薬に戻してもらったが、調子が悪い期間には、散歩に出る気もおこらなかった。
 これってつまり、薬が効いている間は体が動くのだけど、根本的に体調は改善してないってことだ。うーん、なかなかショックである。ショックではあるが、でもへこんで滅入っていてもなんにもならない。仕方がないので、出来ることだけをして過ごしている。そして、その出来ることというのが、読むことと書くことなのである。

 さて、僕が何かを書く時には、手書きであれば基本、万年筆を使う。色を頻繁に切り替えて書きたい時には多色ボールペンを使ったりもするけど、大量に文字を書くのに最適な筆記具は、僕にとっては万年筆だ。
 万年筆とはよく名付けたもので、一本のペンが一生モノになるという触れ込みは、過大広告ではない。初めて買った金ペンはもう何年も使い続けているけれど、近頃ますます調子がいい。車で言うと、走行距離一万キロ前後、ちょうどエンジンのいちばんオイシイ期間にはいったところのような感覚だ。
 しかし、道具である以上、ノーメンテナンスで稼働しつづけることはできない。万年筆にも手入れは必要である。基本は定期的な洗浄。僕は最低でも、半年に一度くらいはつけおき洗いをすることにしている。別に難しいことではない。インクの代わりに水を吸って、コンバータとペン先をきれいにするだけだ。そして、飲ませるインクの種類を換えたり、「たまには大掃除したいな」って気分になったりした時には、お店に持っていって超音波洗浄機で洗ってもらう。
 お店の人、つまり万年筆のプロに時々ペンをみてもらうのはいいことだ。というのは、僕が気づかないようなトラブルを発見してくれることがあるから。ペン先が固着しかかってるとか、切り割りの所にゴミが噛んでるとか、コンバータのピストンの裏にインクがまわってしまっているとか。

 そうそう、万年筆自体は一生モノのアイテムだが、ボトルインクを吸い上げるためのコンバータは消耗品である。
 この、コンバータのピストン裏にインクがまわるっていうのは、コンバータの寿命を示すサインのひとつだと僕は思っている。貧乏性の僕は、ピストンの裏にインクが回っても、コンバータだけ二三日水につけっぱなしにして、できるだけスクリュー側のインクも洗い、ごまかしごまかし使うようにしているのだけど、でもインクがピストンの裏にまわるようなコンバータは、インクの吸い上げも弱ってきてたりするので、適当なところで新品に交換することになる。
 このコンバータがね・・・安くない。牛丼二杯分くらいの値段するんだな。

 僕の印象として、例えばパイロット製染料インクである色彩雫がボトルあたり50mlだけど、これを一本のペンで使い切ると、インクがピストンの裏にまわるような気がする。まあ実際は、何色かのインクを交代しながら使うので、正確なところは分からないけど、自分の年間インク消費量とコンバータの交換ペースから、そんなところかなあと思っているわけだ。
 ボトル一本使い切ってどれくらい書けるのだろう。うーん、そうだな・・・無印のA4ルーズリーフ百枚の束なら、二、三パックってところかなあ。つまり200~300枚。その量を書くのに、ボトル一本+コンバータ一本か。安くはないかも。じゃあ同じ量を百均のボールペンで書いたらどうなるかというと、僕の場合、肩がイカレて鍼灸院通いになるから、保険込みの値段ってことか。じゃあしょうがない。

 先だって、パイロットのカスタム74にセーラーの極黒というインクを飲ませた。このカスタム74に使っているコンバータは、去年もうすでにピストンの裏にインクが回っている。インクの吸い上げもかなり悪い。極黒を抜くタイミングでコンバータも新調しよう。あー、PayPayの20%ボーナスの期間に買っておけばよかったな。後悔。

 最近はこんな風に、判断力とか記憶力も、全然さえない。漢方の先生が言うには、「ブレインフォグ」という症状なのだそうだ。慢性疲労症候群の症状の中では、一番困る症状がこれかもしれない。あー誰か早く治して。