笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

王子動物園


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 パンダのタンタンが中国に帰ると決まったのは、一体いつのことだったろう。

 正月に、子どもをじっと閉じ込めておくのもかえってよくないような気がして、王子動物園に行った。かなり久しぶりに行ったように思う。例年であれば、子どもを通わせている幼稚園の遠足で年に二度ほど行くのだけど、今年度はコロナのせいで、一度も行っていなかった。
 パンダのタンタンがいなくなるから、ずいぶん様変わりしてしまうのかなと思っていたが、やっぱりこのコロナのせいで帰国が伸ばし伸ばしになり、結局まだタンタンは日本に滞在中であり、従って動物園はいつもの動物園のままだった。ただ感染防止のために、ふれあい広場に制限があったり、熱帯性の動物の展示を観覧できなかったりという配慮はされていたけど。あとは、正月にしては人出が少なかっただろうか。

 せっかく来たし、パンダもいつまで見られるか分からないから、ちょっと見に行ってみようとパンダの檻に向かった。しかし、パンダに近づくには予約が必要らしくて、あまりそばには寄れなかった。それでも、少し離れたところから、お立ち台の上でごろ寝しているタンタンのおしりを見ることはできた。要予約という割には人の壁もなく、簡単に見ることができたのだけど、そういう集客力のなさがいかにもタンタンらしい。
 客寄せパンダなんて言葉があるけれど、タンタンは客寄せにとても消極的なパンダだ。平日はおろか、休日にだって人垣ができているのを見たことはない。会おうと思えばいつでも会える、身近なパンダ。もっとも、会いに行っても、あまり愛想良くはしてもらえない。まあかなりご高齢だというから、仕方ないのかもしれないが。子どもができてから年に数度は動物園に来るようになったけど、顔を見た回数よりおしりか背中を見た回数の方が多いような気がする。人嫌いなのだろうか。

 あまりに身近すぎて子どもも見たがらないタンタンだが、そんなタンタンでももう会えなくなると思うとちょっと寂しい。帰国の前に、もう一度くらい見に来ようかな。そのときは顔を見せてくれるだろうか。いや、顔よりもおしりの方がいいかもしれない。僕が見慣れているのは、どっちかって言えば顔よりおしりの方だから。