笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

灘・丸山公園


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海があるということは
夜になっても仄かな明るさを残す水平線が
あるということ
ふるさとのもうひとつ向うにある
ニンゲンの始原の生まれ故郷を
いつも見晴るかすことができる
ということ
 
「海がある」 川崎洋詩集(ハルキ文庫)より

 コロナパニックの最中だから、本当は家でこもっているべきなんだろうけど、子どもはそういうわけにいかなくて、一日に一度は外気浴に連れ出す。天気さえ悪くなければ、行き先は自然、公園になる。僕のこどもたちは公園遊びが好きだ。けれど、毎日毎日、近所の同じ公園ではやはり飽きがくるらしく、「公園に行こう」とこっちから誘っても渋い顔をするようになってきた。だからって、あまり人の集まるような場所には連れ出したくないし、しかも緊急事態宣言が出てから子どもを連れて行けるような施設はたいてい閉鎖されている。
 少し遠いのだけど、灘の丸山公園にでも行こうかと提案したら、こどもたちは諸手をあげて喜んだ。
 全国的には「まるやまこうえん」と言えば京都の円山公園になるのだろう。でも、神戸の中央区、灘区、東灘区あたりに住んでいる人にとってそれは、灘丸山公園のことだ。
 バス通りよりも北の、山際にある丸山公園へのアクセスは、決して良くない。美野丘小学校校区に住んでいるのでない人が、車なしで子連れでここに来たいとはなかなか思わないだろう。そのせいで、土日は小さな駐車場がすぐに満車になり、あふれた車が細い路地に並ぶ。
 それでも、丸山公園に子連れで遊びに来たいと思うのは、ここが広々とした気持ちのいい公園だからだ。中央にサッカーコート一面分ぐらいの広い芝生があり、その周囲がダートのトラックになっていてランニングには最適だ。東の端には総合遊具、滑り台、砂場がある。トイレと水飲み場もある。そして、高台にあるおかげで、公園南端からは神戸の街の大パノラマが見渡せる。

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 訪れたのは、金曜日の夕方。世間では外出自粛が叫ばれているのに、いやだからこそ、けっこうな混みっぷりだ。そこは行ってはだめ、あそこも行ってはだめでは、もう子どもも大人も、公園ぐらいしか出かける先がないのだろう。いや、本当は公園だって、ちょっと考えた方がいいのだろうけど、さっきも書いたとおり、だからって子どもを自宅に閉じ込めっぱなしというわけにも行かないのが子育て世代の本音だ。もし本気で一ヶ月「STAY HOME」したらきっとどこかの壁に風穴があくと、僕は信じて疑わない。
 同じ公園遊びでも、場所が変わると気分もリフレッシュするらしく、子どもたちはおおはしゃぎで元気よく遊んだ。その姿を見ながら、親はそっとため息をつく。これからしばらく、公園巡りの毎日になりそうだ。公園がクラスター発生場所にならなければいいと、そればかりを願っている。

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