笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

高架下(ピアザ)


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 「あら、とてもありがたがってるわ」とアンが抗議した。「ただね、せめて一枚、白いふくらんだ袖にしてくださったら、もっとずっと感謝したんだけど。ふくらんだ袖が、今のはやりですもの。あたし、ふくらんだ袖が着られたら、とても興奮すると思うわ、マリラ」

 

赤毛のアン」 モンゴメリ/中村佐喜子(訳) 角川文庫 

 

 横浜にいた頃の友人と話していて、神戸の話になった。彼女は、「神戸行ったことあるよ。友達が案内してくれたんだけど、なんか、コウカシタっていうところにつれてってくれたよ」と言った。

 神戸で高架下といえば、三宮から元町を挟んで神戸まで続く、線路の高架線の隙間にある商店街のことだ。元町から神戸までをモトコーといい、単純にコウカシタと呼ぶと三宮から元町までのピアザのことを指すだろう。

 二メートルにも満たない幅の通路の両側に、衣料品と靴を商う店を中心として、小さな店舗がひしめいている。近頃は飲食店も増えたが、やっぱりファッション系の店が多いのはここの伝統だ。中学生の頃、親につれられて初めてのジーンズを買いに来たのもここ、高架下だ。その店はまだ商いを続けている。昔は、「高架下で売っとるのは、ばったもん(偽物)ばっかり」なんて言われて、売る方も買う方も承知の上みたいな感じだったけど、実際はそんなことはないんじゃないかな。ばったもんの商売ばかりで、店が長続きするわけがない。

 僕はもう服なんて、破れてなければなんでもいい方だから、高架下に安くてお洒落な服を掘りに行くなんてことはしない。もちろん、若かった頃はよく来たけど。久しぶりに通ってみると、若い人たちが熱心に服や靴を選んでいて、きっと僕もあんな感じだったんだろう。その熱っぽい視線が、なんだか懐かしかった。


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