笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

心斎橋

f:id:sekimogura:20210302215939j:plain

 

 最後に大阪に来たのは去年の3月だった。最初の緊急事態宣言の直前だ。あの後すぐに移動の自粛が叫ばれるようになり、それから今日まで僕は一度も県境をまたがなかったが、今日ほぼ一年ぶりに大阪を訪れた。カメラ機材のメンテナンスのために、ニコンプラザへ行くためである。
 転職の準備のために、3月は少しばたばたする。本当は二度目の緊急事態宣言の解除を待って行きたかったが、今を逃すとかなり先まで機会がなさそうなので、解除の前に大阪に向かった。このパンデミックの最中にニコンプラザは大阪駅界隈から心斎橋あたりに移転している。今まではJRだけで事足りたのだが、四つ橋線に乗り換えて上町駅までやってきた。
 心斎橋を訪れるのは、人生で二度目だ。
 最初に訪れたのは横浜から関西に戻ってきてすぐの頃だろうか。楽器屋を探しに来た。三木楽器やヤマハ大阪の旗艦店が心斎橋にはある。結局、関東でもご縁のあった大阪駅近くのドルチェ楽器に続けてお世話になることにしたのだが、一応どんなお店か見ておきたくて訪れた。
 ほぼ10年ぶりの心斎橋。変わったような、変わってないような・・・さすがに10年前に一度だけ訪れた街の風景なんて、覚えていない。
 まず、ニコンプラザに向かった。場所は違うが、以前と同じようにオフィスビルのワンフロアにブースが開設されている。まず、サービスカウンターに機材を預けた。そして、展示されている最新のカメラやレンズをよだれ垂らしながら眺める。一通りおさわりして満足してから、ビルを出て、メンテナンスが終わる時間までそのあたりを散策した。

 最初に、三木楽器とヤマハに行った。どちらも商店街の中にあったはず。三木楽器はすぐに見つかった。けど、こんな場所だっけ? こんな売り場だっけ? 以前、管楽器を取り扱っていた大きな店舗はピアノ専用売り場になっている・・・ような気がする。管楽器はどこにいったのだろうと商店街を歩き続けると、小さなビルの四階に三木楽器の管楽器売り場を見つけた。売り場が分割されたのだろうか。
 そして、ヤマハが見当たらない。結局、スマホのマップに頼ると、アメ村の少し向こうに矢印が立った。多分、移転している。ニコンプラザからのんびり歩いて20分弱、やっとヤマハの看板を見つけた。そうか、ここにきたのか。ふーん。
 今すぐ楽器屋で買うようなものがあるわけではないけど、楽器屋を巡るのは楽しい。横浜にいた頃は、よく新大久保の中古楽器屋を巡った。関西は中古楽器を取り扱う店が少なくて物足りないけど、新品でも眺めているだけで気分が晴れる。中学校の吹奏楽部にお邪魔させてもらうようになって、新製品の情報もチェックするようになり、「ヤマハが新しいバリサクを作った」「トランペットのプロモデルもリニューアルしたらしい」なんて聞くと、やっぱり実物が見たくなるものだ。本当は試奏できるといいのだけど、買うわけでもあるまいし、そこまで厚かましくはなれないから、見るだけ。いやそれでも、十分楽しい。

 大阪の街を歩き回って思うのは、ここは本当に平らな街なんだな、ということ。坂がない。ほんとに、鏡みたいに真っ平らだ。僕の住み慣れている神戸と横浜は坂の街だから、坂がないというだけで、ものすごい違和感を感じる。冗談でなく、歩いていて足もとがフラフラする。ニューヨークの街を歩いた時にも同じ事を感じた。山がない、というのもいけない。方向感覚がなくなる。僕は大阪には住めないな。坂と山と港がある街が、僕はいい。
 あちこち歩き回ったついでに、アメ村を通り、戎橋を渡った。グリコの看板を見た。以前来たときには、アメ村も戎橋も来なかった気がする。人生初グリコ。でかい。昼のグリコは写真なんかで見る夜のグリコより味気ないけど、それでもなかなかよかった。あのサイズの看板は、神戸にはない。

 カメラのメンテナンスは、一年から一年半に一度のペースを守っているから、僕はまたここに来るだろう。今度来るときは、パンデミックも終息しているはず。そう信じたい。そのときには、うまいたこ焼きでも頬張りながら夜のグリコを見たいな。

 

f:id:sekimogura:20210302220008j:plain

 

f:id:sekimogura:20210302220023j:plain

 

f:id:sekimogura:20210302220041j:plain

 

f:id:sekimogura:20210302220056j:plain

 

f:id:sekimogura:20210302220115j:plain

 

f:id:sekimogura:20210302220135j:plain

 

f:id:sekimogura:20210302220152j:plain

 

f:id:sekimogura:20210302220210j:plain