笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

クラリオン音域を練習中。

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 クラリネットの練習を続けている。
 他の楽器のトレーニングに割く時間が多いので、クラリネットはあまり吹かないのだけど、余裕がある時にはなるべく触るようにしている。別に本番があるわけではないから曲をさらうわけでもないし、中学生に教える時に伝えられる内容を充実させておこう、ぐらいの感覚だ。なので、スケールとタンギングの練習が中心である。
 リードは、バンドレンのトラディショナル(青箱)をずっと使っている。マウスピースはB40。要するに、中学生とあまり変わらないセッティングだということだ。リードの番手は2.5。練習と練習の間があく時にリードが重いと辛いので、あえて軽い番手を選んでいる。
 まあね・・・せっかくクラリネットを買ったのに、本当に練習はほとんどできていなくて、半年吹いて半箱(5枚)ぐらいのリード消費量なのだ。もうちょっと練習せえよ、と自分でも思うけど、やっぱり本番がないと練習しないなあ。もっとも、今の技量では、それがどのようなレベルの本番であれ、本番が決まってから練習したのでは遅いのだけど。

 それでも、細々とでも続けていることに、練習の意義はある。
 あの難しい、ブリッジ音域のAのキィの操作にも近頃はかなり慣れてきた。A⇔B、Bb⇔BやCっていう動きは、散々やりこみましたよ。そのキィ押さえっぱなしにしておいても、音程や音色に大きく影響しない範囲も段々わかってきた。ここの部分は、運指で困難を回避するという手段を活用した方がメリットが大きいな。これ、全国の中学生に教えてあげたい。彼らの多くは、運指表の指使いを愚直に守っている(特に1年生)。ロングトーンのトレーニングなどでは愚直さが大事だと僕は普段主張しているけど、運指については合理性を優先することも大切だろう。曲の流れによっては、トリルキィを活用するという手もあるぜ。そのパッセージを奏するにあたって、どの運指を選択するかを判断するのは、奏者が発揮するべき創造性のひとつだと僕は思っている。

 で、僕の関心事は次のステップに移っている。
 シャリュモー音域からブリッジ音域が安定してきたので、次はクラリオン音域とフラジオ音域だ。このターム、クラリネット奏者以外には通じないが、要は他の楽器の中音域以上である。レジスターキィを押して出す音域だね。
 僕は、この音域にふたつの課題をかかえていて、ひとつは小指の問題、もうひとつはピッチの問題。

 クラリネットの、小指で扱うキィ群を何と言うのか、正式名称を知らないのだけど、とにかくこの小指キィたち、難しい。何が難しいってまず、スケールの並びによって最適なキィが、右手側なのか左手側なのかを判断しなければならないのが難しい。例えば、記譜上で#が4つのホ長調(in Bbの場合、実調でニ長調)の曲だったとすると、そのスケールを奏する時、Bのキィ、C#のキィ、D#(Eb)のキィを連続して操作するわけだが、ヤマハの低価格帯で一般的な17キィの楽器の場合、D#(Eb)キィが右手側にしか装備されていないために、B→右手、C#→左手のように交互に操作していかないと、合理的な運指にならない。もちろん、小指をスライドさせて片手で済ませるという手もあるし、それはフルートやサックスでは通常の操作になるわけだけど、クラリネットの小指のキィの形状って、あんまり、スライドさせることを考えてないよね・・・。なので、クラリネットの演奏って、この音域を通過する時に、先を見越して運指を決めていかないと、D#(Eb)のキィを押す時に「やべェ!」と冷や汗をかくことになる。
 あと、この小指のキィって、操作感が重いよね! 結構な数のキィが長いシャフトで連結されているので、操作が重い! 機構自体の重量もあるだろうから、ひょっとしたらスプリングも強めなのかな? サックスの左手で扱うテーブルキィもそうだけど、ここのキィの操作感がもっと軽くなる発明ってないのだろうか。メーカーさんには是非、工夫してほしいところだ。

 そしてもう一つの問題が、ピッチ。
 リード楽器はどれもそうだけど、高音域のピッチって下がりがち。サックスもオーボエも高音域は、よく練習して鍛えないと、ぶら下がる。そしてクラリネットも例外ではない。実は金管もそうだよね。初心者のうちは、絞り出して高い音を発音できたとしても、ピッチが上がりきらない、っていうのはよくある。
 だから奏者は、アンブシュアを鍛えて、音域に応じてしっかりコントロールすることで、正しいピッチで演奏する能力を獲得していくわけだけど、まあ楽ではないのですよ。最初のうちは、どうしてもマウスピースを縦に噛むことで発音してしまう。それを、噛まずに、きらびやかないい音色で演奏できるようにするのは、サックスの演奏でそのことをよく知っている僕であっても難しい。マウスピースの形状と大きさが違うだけなのに、どうしてできないんだろうな? でも反対に言うと、マウスピースの形状や大きさが違うっていうのは、案外大きな違いなんだってことだ。だから、同属楽器であってもサイズが違えばそれに応じたトレーニングが必要と考えることができる。それは僕が今まさに、アルトサックスに取り組んでいる理由だ。その楽器を上手く演奏したかったら、その楽器そのものととちゃんと向き合えってことだね。

 秋頃にやっていた、黒本をさらうという練習は、近頃やっていない。フルートの本番があったり、アルトサックスに取り組んでいたりしていたので、その余裕がなかった。言い訳はしたくないと思っているけど、時間と体力のリソースが限られている以上、優先順位をつけるのはやむをえない。クラリネットは、スキマ時間で頑張ります。