笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

VICTORINOX Classic AL


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 長年、ビクトリノックスのナイフを愛用している。最初に買ったのがクラシックのALで、それは今でも毎日持ち歩いている。ちょっと何か切ったり素手では難しい作業をしたりする時に、ビクトリノックスがないと不便で仕方がない。今ではもはや、ほとんど体の一部のように感じている。手放せない。

 今でも使っているクラシックを買ったのは、予備校生の頃だ。高校生までは、紙だとか何かの糸だとかを切るのにペンケース入れたカッターナイフを使っていたのだけど、ちょっとした用事でいちいちペンケースを出すのが面倒だと感じたのがビクトリノックスを買うきっかけだったと記憶している。今はもうなくなってしまった三宮の東急ハンズで買った。キーホルダーにつけて持ち歩いていた。キーホルダーはそれから何度か変わったけど、鍵と一緒にまとめてポケットに入れておく習慣は今でも変わっていない。

 ビクトリノックスを持ち歩く便利さになれると、もう手放せなくなってしまう。
 一番よく使うのはハサミだ。服からほつれて飛び出した糸を切ったり、買ったばかりの靴下をすぐ履くために留め糸を切ったり、開けにくいスナック菓子の封に切れ目を入れたり。あと、僕は爪のささくれができやすいので、その痛いささくれを切るのにも使う。このハサミは爪を切ることもできて、出先でうっかり割ってしまった爪を切りそろえるのにも便利だ。
 その、切りそろえた爪があちこちにひっかからないようにするために、僕はヤスリを使う。このヤスリは先端がマイナスドライバーになっていて、楽器のネジを締め直したり、ちょっと強情なプルタブをてこの要領で開けたりするのに役立つ。
 ブレードは一番出番が少ない。「切る」という作業に関しては大抵、ハサミで間に合ってしまうからだ。しかし、段ボールの封をしているガムテープを切ったり封筒の口を開いたりする時はブレードの出番だ。本当は紙みたいに硬いものや糊のついた粘着テープなんかを切るのは刃物にはよくないかもしれないが、僕はそんなことは気にしない。切りたいと思ったものは、何でも切る。そしてビクトリノックスのブレードは、何でもよく切れる。
 週に一度はビクトリノックスの出番がある。さあ使おうと思った時にビクトリノックスがないと大変困る。数年前、ハサミの動きがとても悪くなったので修理に出したことがあり、一週間ほど店にあずけた。ちょうどそのタイミングでシャツの裾がほつれ、糸が飛び出したので切ろうとしたのだけど、刃物がないから手で千切ろうとしたら案外丈夫で中々切れず、どんどんほつれいがひどくなって参った。

 このビクトリノックスはもう四半世紀使っているので、さすがに滑り止めの溝の奧に汚れがたまったり、動きが渋くなってきたりしているけど、今のところ、まだ買い換えの必要は感じない。ハサミもブレードも十分に切れるし、機械部分のガタつきもない。タフだ。道具はタフであるに限る。気兼ねなく使って長持ちするなら、最高だ。
 ビクトリノックスは、僕にとって指先みたいなもの。ステンレスの、切れ味鋭い指先。長く、タフに使いたい。