笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

サーモス


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 トラックにはすでにナップザックがひとつ、中型のアイスボックス、三脚が二本、キャメルのカートン数個、サーモスの魔法瓶、それに果物の袋が積んであった。・・・

 

マディソン郡の橋」 ロバート・ジェームス・ウォラー/松村潔(訳) 文藝春秋

 

 自宅で淹れたコーヒーを持ち運ぶために、サーモスの水筒を使っている。魔法瓶メーカーはいくつかあって、それぞれに良さがあるけれど、「マディソン郡の橋」のロバート・キンケイドがサーモスの水筒を使っているので、彼に倣ってサーモスを選んだ。
 別に、恋愛小説が好きなわけでもないのだけど、中学生だか高校生だかの頃に本屋で、この「マディソン郡の橋」が平積みになっていたのを見つけ、表紙の雰囲気が好きで手に取った。合衆国北部の田舎町の風景の描写が美しく、屋根付きの橋に憧れたものだ。
 まだアイオワに行ったことはないし、キャメルのたばこは気に入らなかったけど、サーモスの水筒には満足している。夏場に冷たい麦茶を詰める中くらいのやつと、毎日ホットコーヒーを持ち歩くための小さなやつを使っている。今は冬なので、小さい方しか使わない。
 朝、熱々のコーヒーを詰めて出かけ、昼頃に飲むと、ちょうどいい温度になっている。口の部分が樹脂製で、そこから少しずつ熱が逃げるようだ。性能ってことを考えると、あまりいいとは言えないのかもしれないが、飲む時にあまり熱すぎるのも困るので、僕にはぴったりである。
 いつか行ってみたいな、アメリカの田舎。サーモスに寂しさと諦めを詰めて。僕を待っているフランチェスカは、さて、いるだろうか。


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