笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

ヴィーナスブリッジ


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「オートバイに乗るということは若さを取り戻すことだと思います。ぼくには若さへの執着があり、若さというものに対して強い憧れを持っているのかもしれません」
 オートバイを若さの象徴として捉えることは、陳腐であるが悪くはない。したがって、この答えも陳腐ではあったが、そう悪くもなかった。
 だけど、それだけでは足りない。
 
「暁のキックスタート」 斉藤純 廣済堂文庫

 

 神戸の夜景スポットとして有名なヴィーナスブリッジ。再度公園の帰りに立ち寄った。今、一部工事中である。
 この手の眺望のいいスポットの常として、鍵の願掛け伝説が用意されている。いつからあるのか知らないがちゃんと鍵をつけられるように専用のモニュメントがあり、何かの呪いのごとく鍵がたくさんかけられていた。どの程度の効果があるのか、統計がとられたという話は聞かないし、僕も実験したことがない。少なくとも、妻とそういうマジナイを試したことはなかった。それでも十分、幸せにやっている。試していたらもっと幸せだっただろうか。分からない。
 僕は以前、神奈川県に長く住んでいた。神奈川にも藤沢だったか茅ヶ崎だったか、あるいは寒川か小田原か、記憶がはっきりしないのだけど、湘南平というところがあって、そこの展望タワーにも同じように鍵の願掛け伝説がある。

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 この湘南平には、二度行った。残念ながら、女性とは行かなかった。一度は大学の同期四人と車で、一度は大学の後輩とバイクで。僕はつくづく、鍵に縁がない。
 後輩とバイクで行った時、僕は確か中古の四〇〇ccで、後輩はモタード仕様のヤマハ・ランツァだった。当時、ランツァはすでに生産を終えており、後輩も改造後の中古車を手に入れたようで、その最初のツーリングが僕との湘南平行きだった。詳しい行程は覚えていないけど、西湘バイパスを走って、ラーメン食って・・・そんなような旅だったはずだ。そして、元々の予定では湘南平なんて行く予定はなかった。予定していた行程が意外に早く終わってしまい、夕暮れまでにまだ少し時間があるからと、急遽、予定に組み込んだのが湘南平。知らなかったとはいえ、湘南平にバイクの男がふたりで・・・今思い出しても、寒気がする。
 その後輩とは、すごく親しかったわけでもないし、学年が近かったわけでもなく、その上地元は横浜をはさんであっちとこっちで、卒業後はほとんど会う機会もなかった。けども、そのツーリングで湘南平に一緒に行ってしまったという思い出のためだけに、鍵を見ると彼のことを思い出す。
 僕はとっくに四〇〇ccを手放してしまったけど、彼はまだランツァに乗っているだろうか。元気でやってるといいのだけど。
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