笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

ひなまつり。

f:id:sekimogura:20240311142446j:image

 

 我が家には娘がいるので、3月になるとひな人形を飾る習慣がある。コンパクトな親王飾りのおひな様は、娘が生まれた年の春に買った。親王飾りは、場所をとらないし、飾るのも片付けるのも手軽でよい。狭小マンション住まいには最適である。
 僕は男兄弟だのだけど、僕が小さかった頃に実家では毎年、なぜか母のひな人形を飾っていた。うろ覚えではあるが確か、昔風情の、五段くらいある大きなひな飾りで、多分、三人官女も五人囃子もそろっていたんじゃないかな。祖母が出していたんだと思う。仕舞いっぱなしだと黴びるから、などと言いながら、人形をつつんだ紙を丁寧に剥ぎ取りながら並べていたっけ。
 あのサイズのひな飾りは、今の我が家には無理だな。二畳ぐらいスペースをとるはずなので、もしあれを飾ったら、生活空間が著しく圧迫されるだろう。片付けて仕舞っておく収納もない。そもそも、黴びるから、などという理由で出したり引っ込めたりする気概がない。そういうものって、いつか触らなくなってしまう。毎年出し入れしても苦にならないし邪魔にもならない親王飾りは、我が家にはちょうどいい。

 おひな様は、仕舞い遅れると行き遅れる、などという謂われがあるが、我が家ではあまり気にしてなくて、ひな祭りが済んだ後の土日に子どもと一緒に片付ける習慣になっている。いまどき、行き遅れるなんてことを気にする人いるのかな? ただ、放っておくとお人形が埃をかぶってしまうので、長引かせすぎないようにはしているけど。

 そして、今年もひな人形を片付ける子ども達を眺めながら、思う。うちの娘もいつかかたづく日がくるのだろうか。かたづいてほしいような、ほしくないような。