晴れた日の天はセルリアンブルー。
雲は鉛。
明暗の縞模様になって秋はふかまる。
西神の秋が好きだ。
春は一面薄紅に燃え上がっていた木々が、夏になると青葉が茂り、秋に重い橙に色づいて、冬ついに枯れ果てる。夏は暑すぎて、冬は寂しすぎて、行く気になれない。春は華やかすぎて気が引ける。でも秋なら、高々と抜けきった濃い青空と、湿った冷ややかさをたたえた風と、静かに舞い散る落葉のバランスがとてもいい。だから、秋になると時々西神に足を運ぶ。子どもをつれて遊びに行くこともあるし、ひとりで逍遙することもある。西神の秋は、いい。
一人の時は、西神中央から西神南まで歩く。ふたつのニュータウンを川が隔てているのだけど、その川縁はとてものどかだ。海沿いの都市部に暮らしている僕にしてみると、神戸にこんなところがあるのかというほど、のんびりしている。
戦後開発の進んだニュータウンなるものを、どちらかといえば好まない僕だが、秋の西神は好きだ。それは多分、空が広いからだと思う。