笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

レジェール・シグネチャー ヨーロピアンカット

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 クラリネットの練習を続けている。
 4月は、少し時間に余裕があったので、3月までよりは練習をしたように思う。スギやヒノキの花粉の飛散が収束し、暖かくもなったので、自宅だけでなく、屋外でも吹いた。外で吹くのは気持ちがいい。単純に、春風を浴びながら楽器を吹くのが気持ちいいというのもあるし、大きな音が出せるというのもストレスがなくてよい。まあ、サックスや金管楽器に比べればクラリネットの最大音量なんてしれたものなのだけど。それでも、ミュートができない木管楽器を自宅で吹くのは気を遣う。基本、日が高いうちにしか吹けないし、高音域やフォルテの練習はNGだ。屋外だと、そういう遠慮をする必要がない。もっと上達して、繊細な練習をする必要がでてきたらスタジオを借りたりカラオケに行ったりするだろうけど、ちょっとスケールをさらうくらいなら、露天でおおらかにやるのが最高だ。そのためにプラ管のYCL-255を選んだんだしね。

 さてさて、外練だ。近くに住宅のない大きな公園に出かけて、お日様を浴びながら楽器を組み立てる。春風が心地良い。こりゃあいいや。
 3月まで自宅でボソボソと吹くのに使っていたリードは、完全にコシが抜けている。小さな音で吹く分にはその方がかえって具合がよかったけれど、気持ちよく高音を吹くには力不足である。なので、新しいリードをあけた。
 僕の愛用のリードは、バンドレンの青箱・・・なのだが、実はついに、樹脂リードを手に入れた。今回封を切ったのは樹脂リードの方で、安心と信頼のレジェールである。

 今まで、テナーサックスではレジェールをずっと使っていたが、クラリネットのレジェールは初めて買った。まあ、クラリネットの本体を手に入れたのは去年の夏だからね・・・当たり前なんだけど。で、サックスと同じシグネチャーでいいや、と考えていたら、どうやら、通常のシグネチャーとは別に、シグネチャーのヨーロピアンカットというやつがあるらしいということを知り、せっかくなので比較して購入することにした。
 お店にお願いして、レギュラーとヨーロピアンかっとの二種類の、どちらも3番を用意してもらって吹かせてもらった。
 まずはレギュラーの、通常のレジェール・シグネチャー。吹くと、普通に、ちゃんと鳴る。何を言うとるねん、と思われるかもしれないが、ちゃんと鳴らないモノもあるっていうのが樹脂リードの怖いところだ。特に、ピッチの安定性やダイナミクスの幅については、よく確かめなければならない。レジェールのシグネチャーは、音量は生リードには敵わないものの、ピッチの安定性にすぐれていると僕は思う。
 そして、次はヨーロピアンカット。・・・あ、これいいね。レギュラーのシグネチャーもいいけれど、こっちの方が吹きやすい。息に対して反応が素直で、音色にまとまりがある。リードとしての性能に大きな差はない。ヨーロピアンカットも、ちゃんと鳴る。

 じゃあもう、どっちを選ぶかは好みの問題だな。というわけで、ヨーロピアンカットにしました。セッティングにもよるだろうけど、B40 + YCL-255には、僕の場合、ヨーロピアンカットの方がしっくりきた。音色がまあるいので、プラ管の軽い音色を少しカバーできるのもよい。それに、吹きやすかったし、音色的にピッチをとらえやすかった。

 近頃はその、ヨーロピアンカットのレジェールをよく使っているけれど、半月ほど使ってみて、大きな問題は感じない。うん、いいんじゃない? まあ、生リードと比べるとやはり、高音のぶら下がりにくさや音量・音圧は劣る。青箱に比べて柔らかいので番手はあげたのだけど、それでもまだ、もうちょっと重い番手を選んでもよかったかもね。しかし、困るほど劣るかというと、僕は許容範囲だと思うな。合奏なんかで使って、どうしてももうひと伸び欲しいなら、その時は生リードに換えればいいのだし、練習で気持ちよく吹くだけなら、これでいいよ。
 ただ、たった一つ改善が望まれるのは、高音域でタンギングをした時に、「パツっ!」とアタックに異音がはいることだ。なんだこりゃ? 試奏の時にはフラジオ域までは試さなかったから、気づかなかった。最初は自分の技量の問題だと思っていたのだけど、生リードに換えるとこの現象は生じないので、レジェールの問題なのは明らかである。
 これが、個体差の問題なのか、設計上の問題なのか、あるいは素材に起因するものなのか、それは分からない。これから先、レジェールを買い換えることがあれば、もうちょっと色々分かるのだろうけど、現状、この一枚しか吹いたことがないので、これ以上は何も言えない。
 しかし、もうちょっとリードが馴染んできたり、僕自身がクラリネットの演奏に熟達したりすれば、改善するということも考えられるので、当面、気にしないことにする。

 樹脂やシンセティックのリードも近頃はずいぶん品質が高くなってきて、本番でも問題なく使える種類が増えてきた。ただ、時々、もう一息だよなあ、と思うことがあるのも事実。でも、レジェールのヨーロピアンカットはいいリードです。長く愛用したい。

galaxのクリーニングペーパー

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 galaxのクリーニングペーパーを愛用している。
 確か、大学生の時に、クラリネットの後輩が使っているのを見て、「ちょうどいいサイズじゃん」と思って使い始めたはず。それまでは、ヤマハの千切るタイプのクリペを使っていた。galaxに乗り換えるまでは、ヤマハを何の疑問もなくずっと使っていたが、換えてみたら、もう戻れなくなった。大きさが本当に、ちょうどいい。


 galaxのクリペの、クリーニングペーパーとしての性能は、普通。
 うん、特筆すべきことは何もないね。テナーサックスの片付けをするときに、もうちょっと面積がほしいと思うことはあるけれど、どうしても必要なら二枚使えばいいだけのことだし。吸水性に問題はない。厚さ(丈夫さ)もちょうどいい。クリペとしての仕事を、課不足なくこなしてくれる。折り目があるせいで、大きなキィに使う時にはちょっと不便かなと思うことはあるけど、丁寧に伸ばせば、ちゃんと隙間に入ってくれる。
 普通って、素敵だ。

 性能とは別に、僕が気に入っているポイントは、やはりそのサイズだろうか。
 国内で流通しているクリーニングペーパーで、おそらくもっともコンパクトなのが、galaxだと思う。二つ折りにしたペーパーをスリムなケースに収納している。広げた状態での面積は、ヤマハより少し小さいだろうか。でもほとんど変わらないんじゃないかな。このコンパクトさのおかげで、フルートのケースカバーのポケットに余裕で収まる。ケースカバーの種類にもよるが、ヤマハのクリペだと厳しい時もあるので、このサイズはありがたい。
 ケースの形状もいい。フタをパカッとあけて、ティッシュペーパーのように取り出すのだけど、このフタがついているっていうのは、僕にとっては有り難い。フルートだと、タンポが毎回濡れるわけではないので、一枚のクリーニングペーパーを数回使うことがあるのだが、このフタがあるお陰で、クリペを伸ばした状態のまま保存することができる。そして、そんな風に仕舞っておいても、使いかけのクリペの端が傷まない。これが、ヤマハのようなノートタイプのクリペだと、千切ったクリペが表紙の厚紙から少しはみ出して、端っこがグズグズになる時があるのだ。そうなると、開きの小さなキィの隙間に挟むことが難しくなってしまうので、とても困る。galaxでは、それがない。素晴らしい。

 あえて欠点を挙げるとすれば、やっぱり折り目かなあ。
 折りたたんで収納されているので、折り目があるのは仕方がないのだけど、この折り目のせいで、キィの隙間にペーパーを挟みにくいことがあるっていうのは事実だろう。これが気に入らないっていう人は、結構多いんじゃないかな。で、そういう人は多分、galaxを選ばないだろう。折り目は、なくていいなら、ないにこしたことはない。しかし、コンパクトさとトレードオフなので、やむなし。

 コンパクトだけど、十分な面積があって、しかも折り目のないクリーニングペーパーがあったら、売れるだろうな。しかも速乾性があって、真冬でもすぐに乾いて、一枚で大型木管楽器のキィを全部、短時間でクリーニングできたら最高だろうな。さらに、掃除しにくいキィの隙間に差し込みやすくするために、曲げた形を30秒くらい記憶しておいてくれて、そのキィの掃除がおわったらまた平らにもどるような機能があったら素敵だな。
 galaxさん、そんなクリペ、作ってみませんか?

バンドレン・ZZ

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 アルトサックスの練習に取り組んでいる。
 練習をすると、リードを消費する。これ、リード楽器では当たり前。消費したら、買わないといけない。僕の使っているバンドレンのトラディショナル(青箱)は、一箱10枚、定価で5000円(+ tax)。以前アルトを吹いていた時期はあったのだけど、リードのストックはないので、手持ちの分がなくなったら、買うしかない。
 この記事を書いている現在、為替レートは1$=150円台で推移していて、これがそのうち、200円を超えてくる円安になるという噂だ。ということは、輸入品であるサックスのリードの仕入れ値が上がるのは必須であり、そうすると売値も上がるのは間違いないだろう。前回のリードの定価の改定が去年の夏で、その後、お店によっては店頭での割引率の引き下げがあったようだ。ここのところ、年イチぐらいのスパンで楽器(や、そのアクセサリ類)の値段が上がっているから、またそろそろ値上がりしても全然おかしくない。
 今のリードの価格も決して安くはないが、先のことを考えると今のうちに買ってストックしておくのが得策だろう。
 そう思って、楽器屋さんに向かいかけた。しかし、その道中ふと、「今使っている青箱をそのまま使いつづけていいのか?」と疑問がわいた。


 僕は、テナーサックス用の生リードには、バンドレンのZZ(黒箱)を愛用している。トラディショナルとJAVA(緑箱)の中間のようなリードで、ジャズらしい音色だがJAVAほど明るすぎず、アタックの反応がいいところが魅力だ。
 色々なリードを試して、最終的にZZをレギュラーのリードに選んだのが、もう15年以上前になる。その頃からセッティングはほとんど換えていない。リードもZZのまま、今もテナーを吹き続けている。何の問題もない。僕にはよくあっている。
 そして、ブランクのあるアルト用のリードとしてトラディショナルを選んだのが、20年ほども前になる。もちろん、その時も色々なリードを試した。試した・・・はず。うーん、実を言うと、よく覚えていない。試したと・・・思うよ? 試したっけ?
 その頃に世間で一番評判のよかったウッドストーンのリードが、しっくりこなかったことだけは覚えている。しかし・・・JAVAは試したっけ? V16は? リコは? ヘムケは確か、割と好きだったような気がする。でも結局・・・たぶん、よーく比べて・・・青箱にした・・・んだっけ? いやー、忘れちまったなあ。あはは。

 まあね、青箱はいいリードだよ。次も青箱で全然問題ない。でも、ひょっとしたら今度はヘムケがしっくりくるかもしれないなあ。あれからずいぶん時間も経って、腕だって上がっているはずだし、僕の好みも変わっているかもしれない。
 よし、一度、違うリードを試してみよう。

 で、僕は楽器屋さんのばら売りリードのコーナーへ行きましたとさ。
 さーて、何を試すかな。アルトのばら売りリードの値段は、一枚500円程度。牛丼並盛りが食える。わかめコロッケそばも食える。うーん、安くない。二枚買ったら千円か・・・お試しだし、とりあえず一枚にしとこう。
 あれこれ迷うと、その分時間もかかるし、コストもかさむ。僕の方針としては、青箱か、否か、だ。青箱以外にするなら、それを一発で選びたい。だとしたら、やっぱり、実績のあるヘムケか、テナーで使っているZZだな。どっちにしようかしばらく迷ったけど、バンドレンの個包装が気に入っているので、アルトのZZを試してみることにした。

 買ってかえったのリードの番手は3番。ZZの3はリードチャートで見ると大抵、トラディショナルの2.5と並んでいるので、同じ硬さを選んだことになる。
 練習の時に、まずいつもの青箱でウォームアップし、それからリード交換でZZの封を切った。まず見た目の違いではっきり分かることは、トラディショナルはフレンチカットで、ZZはアメリカンカットだということ。この、カットがフレンチなのかアメリカンなのかって、正直、そのことに起因する相異が僕にはよくわからない。だって、その部分だけ違うリードって、なくない? 赤JAVAだって、緑JAVAと何が違うって言ったら、バンドレンのHPを読んでみると、カット以外にも色々違うようなんだよね。ちなみに赤JAVAは好きではありません(個人の意見です)。でも傾向として・・・フレンチカットの方が多少、音量が勝るかなあ? うーん、でも、よくわからん。
 吹いてみる。
 音色は、全然違う! これだから楽器は面白い。
 トラディショナルと比較してZZは、音色が暗くて太いと、僕は感じる。トラディショナルが高い周波数の倍音で音を飛ばすイメージなのに対し、ZZは低い倍音を充実させていると言えばいいだろうか。音量・音圧はトラディショナルの方が圧倒的に高い。もちろん、ZZだって問題なく使えるレベルの音量・音圧を出せるけど、ちょっとリミッターがかかっている感じ。弱音側も含めて、音量のレンジは狭いかもしれない。ただ、ダークさのなかに少し甘さも感じる音色は、質のいい豆で淹れたブラックコーヒーのようで、青箱にはない味がある。これはこれで、いい。

 当たり前だが、テナーのZZも同じ音色がする。なので、アルトでZZを使った僕の感想を一言で言うと「テナーっぽい」だ。うん、これはテナーの音色だね。
 奏者によって意見は色々あるだろうけど、僕の場合、テナーに求める音色とアルトに求める音色は、ちょっと違う。少なくとも、同じであってはいけない。で、テナーの場合はZZがとてもしっくりくる。しかし、アルトにこの音色はちょっと、求めるものとは違うなあ。
 そういうわけで、アルトのZZは、なし。後日、僕はいつもの青箱を3箱買いましたとさ。ちゃんちゃん。

 リードのケーンってさ、国内で栽培できないもんなのかなあ? そう思ってグーグル先生に尋ねてみると、同じ事を考える人はやはりいらっしゃるようで、いくつか記事がヒットする。どうもうまくいかなさそうか、現在流通しているのと同じ品質のリードを国産で作ろうと思ったら、どえらい設備投資が必要になりそうだということは何となくわかった。そうなるとさ、やっぱり、樹脂リードに答えを求めたくなるよね。「フランス産ケーンで製造されたリードと遜色ない性能を発揮する樹脂リード」が開発されたら、個人的にノーベル賞を差し上げたい。リード高いよぅ・・・。