笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

神戸楽譜

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 三宮の駅前に、神戸楽譜という、主にクラシック関係の楽譜や書籍を扱うお店がある。一般的な書籍ならヤマハでも揃うのだけど、珍しい楽譜を探す時や、「この出版社の、この版が確実に欲しい」っていう時には、神戸楽譜さんが頼りになる。

 来年の演奏会でブラームス交響曲を演奏することになり、指揮者が「全音の新しい版を参考にする」と言っていたので、全音の最新版のミニチュアスコアを探しに行った。版の新旧を問わないのなら、Amazonなんかで買ってもいいのだけど、今回は確実に新版を手に入れる必要があり、Amazonで注文して間違って旧版が届くと面倒なので、こういう時は店頭で確かめて買う方が安心なのだ。クラシックというのは、楽譜なんてもう決まり切っているかのように世間では思われている節があるが、案外、その時々の研究の進み具合や編集の方針によって、アーティキュレーションが違ったり、音さえ違っていたりする場合がある。面倒なようだが、クラシックファンとしてはそういうのも楽しみのうち。しかし、そうではあるのだけど、自分が演奏する時に指揮者の指示と自分の手元の譜面が違うと面倒なので、こういう場合にはやっぱり、楽譜をそろえておくのがよい。

 せっかくなので、再来月に参加するチャイコンチャイコフスキーのバイオリン協奏曲)の演奏会のために、これもたしか全音の新版があったはずと思い、全音のスコアでそろえることにした。
 ブラームス交響曲全部と、チャイコンで、合計五冊。どれも名曲で、長くオケをやっていれば一度くらい演奏していそうな曲ばかりなのに、どういう訳か僕は一度も出会わずにやってきた。チャイコンは学生の時に、演目にあがっていたけれど、僕は「降り番」だったし。だから五曲とも、僕はスコアの持ち合わせがない。しょうがない、買っておかないと。まあ全音なら、五冊まとめて買っても大した金額じゃないから、ま、いっか。

 さて、神戸楽譜に着いてスコアの書棚の前に立つと、ブラームスはすぐに見つかった。新版のスコアは、旧版よりもすこし横長だ。サイズが違うので一目瞭然。しかし念のため、お店の人に確認。うん、まちがいない。
 で、チャイコンの方にも全音の新版があるはずなのだけど、見当たらない。これもお店の人に確認。どうも店頭では在庫切れらしい。すぐに出版社の在庫を確認してくれて、来月のアタマには入荷できると約束してくれた。
 近頃は楽譜も電子書籍化が進んでいて、オケの練習に行くと時々、タブレットで楽譜を見ながら演奏している人がいる。電子書籍なら、出版さえされていればすぐに手に入るし、タブレットを使って演奏するのは便利そうでいいなあと思う反面、バッテリー切れとか機材トラブルなんかが恐くて、僕は当面、紙の譜面を手放す気はない。スコアについても然り。I believe PAPER. 個人的に楽しむだけなら電子楽譜もいいけど、人前で演奏するのに使う楽譜は、できるだけリスクのないものを使いたいものだ。そういうわけで、チャイコンは予約して入荷待ち。
 神戸楽譜さんのいいところは、そうやってこちらの細かい指定や要望に応えてくれることに加え、楽譜を注文した時にその入荷時期をはっきり、正直に教えてくれるところだ。国内出版社の楽譜なら、入荷時期はたいてい正確にわかるのだけど、海外の出版社に発注する場合はそうはいかない。エアメールで頼むと、お金がかかるかわりに、割と正確で早く届くが、シーメールは本当に時期が読めない時がある。そういうのを、神戸楽譜さんはちゃんと教えてくれる。はるかはるか昔、神戸楽譜ではないお店で海外の出版社の楽譜を頼んだ時、一ヶ月で間違いなく届くと言われたのに、半年以上も待ったことがあった。
 餅は餅屋というけれど、楽譜は楽譜屋に限る。神戸で楽譜探すなら、神戸楽譜。間違いない。