笛吹きもぐらは旅をする

笛吹きの、慢性疲労症候群の療養日記。

ガッチャマン

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 神戸に住んでいると、関西のローカルテレビ局「サンテレビ」を受信することができる。阪神の試合は必ず中継することで有名な局だが、野球を見ない僕にはあまり縁がない。しかしなぜか近頃、我が家のテレビは毎朝、サンテレビを受信している。何故かというと、サンテレビでは朝に子ども向けの番組を放送していて、それを学校に行く前の子どもたちが観ているからだ。

 一昔前の戦隊モノと古いアニメ作品が、朝の7時から8時まで放送されていて、僕の子どもたちはその番組を観てから登校していく。戦隊モノの方は、古いといっても数年前のものである。しかし、アニメの方が中々凄くて、僕が子どもの頃に再放送で観たような作品が放送されるのだ。そして、今放送されているのがなんと、「ガッチャマン」。
 wikiによれば、1972年から74年の放送が最初だというから、僕が生まれるより前に制作されたアニメだ。制作はタツノコプロ。劇画タッチの画調が昭和ノスタルジーを感じさせる。当たり前だがこの時代のセルはすべて手描き。凄いの一言に尽きる。
 その凄さが子どもにも伝わるのか、僕の子どもたちはこのガッチャマンに夢中だ。毎朝、かじりつきで見入っているし、小林亜星作曲の主題歌を一日中歌いっぱなし。ガッチャマンの色あせない魅力、強烈である。

 今、ローファイがブームなのだそうだ。レコードの流行もそうだし、音源自体も、ASMR的な効果を狙ってわざと雑音の多い楽器を使って録音したり、リップノイズを残すようなプロセスをふんだりするらしい。面白い。でも、面白いことは面白いんだけど、じゃあこの50年の技術進歩って一体何だったの? という思いもある。レコーディングや流通プロセスをデジタル化して、音楽や映像の流通経路から極限までノイズを廃したのに、あえてそこにクリアなノイズをのせるという矛盾。
 ガッチャマンはノイズだらけのアニメだ。ベルクカッツェの甲高い声、科学的なんだか非科学的なんだかよくわからないメカ、紙芝居に堕する直前のややカクカクした動き・・・でもそういうの全部が、なぜか魅力的なのである。それがなぜいいと感じられるのか、全然説明できないんだけど、でもやっぱりいい。もし贅沢言っていいならこの作品、液晶画面じゃなくてブラウン管で観たいなあ。あの丸くゆがんだ、モヤッとした画面で。絶対楽しいと思うのだけど。